グレープフルーツと薬の関係 服用中の方は注意が必要です
- 貴介 浅川
- 4月18日
- 読了時間: 4分
更新日:5 日前
グレープフルーツは栄養価が高く、美味しい果物ですが、一部の薬と相互作用があり、薬の効果に影響を与えることが知られています。今回の浅川クリニックのブログでは、グレープフルーツと薬の関係について、なぜ注意が必要なのか、どのような薬に影響があるのかを解説します。

なぜグレープフルーツが薬に影響するのか?
グレープフルーツには「フラノクマリン」と呼ばれる成分が含まれています。このフラノクマリンが、体内で薬を分解する酵素(特に「CYP3A4」)を阻害する働きを持っています。通常、CYP3A4は薬を代謝し、体内で適切に作用するように調整していますが、グレープフルーツによってこの酵素の働きが抑制されると、薬の分解が遅れ、血中濃度が上がってしまうことがあります。これにより、薬が過剰に作用して副作用が強く現れたり、逆に薬効が変動したりする可能性があるため、注意が必要です。
グレープフルーツが影響する主な薬の種類
降圧薬(血圧を下げる薬)
カルシウム拮抗薬というタイプの降圧薬(例:アムロジピン、ニフェジピンなど)は、グレープフルーツによって代謝が抑えられ、血中濃度が上がる可能性があります。これにより、血圧が過度に下がるリスクが生じることがあります。
脂質異常症治療薬(コレステロールを下げる薬)
スタチン系の薬(例:アトルバスタチン、シンバスタチンなど)は、グレープフルーツによって血中濃度が上がることで、筋肉痛や肝機能障害などの副作用が現れやすくなります。
免疫抑制剤
免疫抑制薬(例:シクロスポリン、タクロリムスなど)は、臓器移植後の拒絶反応を防ぐために使用されますが、グレープフルーツが作用すると、過剰な免疫抑制や腎機能障害のリスクが高まります。
抗不安薬や抗うつ薬
一部の抗不安薬や抗うつ薬(例:ブスピロン、セルトラリンなど)も、グレープフルーツによって血中濃度が上昇するため、過度の鎮静作用や精神的な副作用が出る可能性があります。
その他
抗菌薬、抗がん剤、ED治療薬(例:シルデナフィル)など、特定の薬もグレープフルーツとの相互作用で副作用が増加する可能性があります。
グレープフルーツ以外の果物も影響する場合がある
グレープフルーツに加えて、セビルオレンジやライム、ポメロ、夏ミカン、ダイダイ、サワーオレンジ、ブンタン(ザボン)、絹皮(安藤みかん)、スウィーティー、ハッサ、晩白柚、金柑、イチジク、ザクロなど、フラノクマリンを含む果物も一部の薬に影響を与えることがあるため、注意が必要です。
一方で同じ柑橘類でも温州みかんやカボス、バレンシアオレンジ、マンダリンオレンジ、ネーブル、日向夏、レモン、ゆずなどは薬との相互作用の心配が比較的少ないです。
ワンポイントアドバイス
グレープフルーツ以外の注意が必要な食べ物・飲み物
アルコール
影響を受ける薬
抗不安薬、鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDsなど)、糖尿病治療薬、抗うつ薬など。
効果
アルコールは中枢神経抑制作用があり、抗不安薬や鎮痛薬と相互作用すると、鎮静作用が強まり呼吸抑制が起こることがあります。また、糖尿病薬と組み合わせると、低血糖のリスクが増します。
ビタミンKを多く含む食品(納豆、ほうれん草、ブロッコリーなど)
影響を受ける薬
抗凝固薬(ワルファリンなど)。
効果
ビタミンKは血液凝固に関与するため、抗凝固薬の効果を減弱させる可能性があります。ビタミンKを多く摂ると、薬の血液凝固抑制効果が低下することがあります。
乳製品
影響を受ける薬
抗菌薬(テトラサイクリン系、フルオロキノロン系)。
効果
乳製品に含まれるカルシウムが抗生物質と結合し、腸での吸収が妨げられるため、薬の効果が減弱する可能性があります。
カフェイン
影響を受ける薬
喘息治療薬(テオフィリン)、一部の抗うつ薬(フルボキサミン)など。
効果
カフェインの刺激作用が薬の効果を増強し、過度な興奮や不安感を引き起こすことがあります。薬の代謝を妨げて血中濃度が高まることもあります。
まとめ
薬を服用している際は、グレープフルーツやその類似の果物を避けることが推奨される場合があります。特にCYP3A4酵素を通じて代謝される薬の場合、グレープフルーツとの相互作用によって薬の効果が変動するリスクがあるため、十分な注意が必要です。
浅川クリニック 内科・世田谷
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