高山病予防とダイアモックスの役割
- 貴介 浅川
- 20 時間前
- 読了時間: 3分
高山病は、高地に急速に移動した際に、酸素の薄い環境に身体が適応できずに発生する一連の症状です。通常、標高2,500メートル以上の地点で発生しやすく、適応が追い付かないことによって体に様々な影響が現れます。頭痛、吐き気、疲労、めまい、睡眠障害などを引き起こすことがあります。今回の浅川クリニックのブログでは、高山病の予防として用いられる薬剤「ダイアモックス」について、その効果と使用時の注意点を解説します。

高山病のメカニズム
高山病は、高度が上がるにつれて大気中の酸素濃度が低下することにより引き起こされます。身体はこの状況に適応しようとしますが、適応が追い付かない場合、脳や肺に液体が溜まり、重篤な状態を引き起こす可能性があります。
高山病の種類
急性高山病(AMS: Acute Mountain Sickness)
最も一般的な形式で、頭痛、吐き気、疲労、食欲不振、睡眠障害などの症状が特徴です。
高地脳浮腫(HACE: High Altitude Cerebral Edema)
AMSが進行すると、脳浮腫を引き起こすことがあります。これはより重篤な状態で、混乱、協調運動障害、意識障害などが見られます。
高地肺浮腫(HAPE: High Altitude Pulmonary Edema)
これも重篤な状態で、肺に液体が溜まることにより、呼吸困難、胸の痛み、過度の疲労感、咳、呼吸時のゼーゼーまたはガーガー音などが現れます。
予防方法
段階的な順応
高度を徐々に上げていくことで、体を低酸素環境に慣らします。
水分補給
十分な水分を摂ることで、脱水を防ぎます。
ゆっくりとしたペースでの登山
急激な高度変化を避けるために、登山のペースを適切に調整します。
ダイアモックスの使用
医師の指示に従い、予防薬としてダイアモックス(アセタゾラミド)を使用することも一つの手です。
対処法
高度の下降
症状が改善しない場合は、より低い高度に下降します。
安静にする
体力を消耗しないように休息を取ります。
酸素の補給
必要に応じて追加の酸素を吸入します。

ダイアモックスの役割
ダイアモックス(一般名:アセタゾラミド)は、元々は緑内障の治療薬として使用されていましたが、高山病の予防と治療にも効果があることが知られています。ダイアモックスは、腎臓での重炭酸イオンの再吸収を阻害し、体内のpHバランスを調整することで、呼吸を促進し、高地での酸素の利用効率を向上させます。
ダイアモックスの使用方法
予防投与
高地に登る前日から服用を開始し、高地に滞在する最初の3日間、継続して服用します。
通常、1日に125mgから250mgを2回に分けて服用します。
副作用
ダイアモックスの一般的な副作用には、しびれ感、頻尿、味覚の変化、めまいなどがあります。重篤な副作用は稀ですが、アレルギー反応や血液の問題が起こる可能性があります。
使用時の注意点
水分摂取
ダイアモックスは利尿作用があるため、脱水を防ぐために十分な水分を摂取することが重要です。
医師の相談
ダイアモックスは処方箋が必要な薬剤です。使用前には医師に相談し、自身の健康状態や他の服用薬との相互作用について確認してください。
段階的な高度調整
薬物治療だけに頼らず、高度を段階的に上げることで体の適応を助ける方法も併用しましょう。
まとめ
高山病は適切な対策を行えば予防が可能です。ダイアモックスはその一助となり得ますが、服用前には必ず医師と相談し、自己判断での使用は避けるべきです。また、高山病の予防だけでなく、適切な水分補給や高度の調整も重要です。安全に楽しむためにも、これらの注意点を守り、高山病のリスクを最小限に抑えましょう。
浅川クリニック 内科・世田谷
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8
Comments