働く世代の方も要注意 高血圧症
更新日:6月11日
初めまして。浅川クリニック副院長の浅川貴介です。
金曜土曜日に内科外来を担当しています。
高血圧は現代社会でよく見られる健康課題の一つですが、適切なケアと意識の向上でそのリスクを軽減することが可能です。今回のブログでは、当クリニックが提供する高血圧診療に焦点を当て、健康な生活への第一歩を踏み出すための情報をお届けします。
そもそも高血圧って何?
図のように心臓が頑張って縮んでいるときの血圧が上の血圧、収縮期血圧となります。
心臓が大きくなっているときの血圧が下の血圧、拡張期血圧です。
血圧は普段意識することはほぼないものです。
血圧が高くても自覚症状はあまりありません。
ただし、、常に血管に強い力が加わると、血管は傷みやすくなり、強い力を使っているため心臓も疲れやすくなります。
その結果、血管・心臓に障害をもたらし、脳や心臓の病気の原因となってきます。
日本では4300万人(日本人の3人に1人 30歳以上の日本人男性の60%女性の45%)と最も患者数の多い生活習慣病と言われています。
脳卒中、心臓病などを予防するうえで、血圧のコントロールはとても重要です。
当クリニックでは、専門的な知識と経験豊富な医師が患者様一人ひとりに合わせたアプローチでサポートします。
寒い時期ほど血圧に注意
寒い時期には、一般的に血圧が上昇する傾向があります。
これはいくつかの理由によります。
1. 血管の収縮(血管狭窄)
寒冷な環境では、体が温かさを保つために血管が収縮します。これにより、血液の循環が制約され、血圧が上昇します。
2. ストレスホルモンの放出
寒冷な環境では、ストレスホルモンであるアドレナリンが増加しやすくなります。アドレナリンの増加は心拍数と血圧を上昇させることがあります。
3. 冷えによる血液中のビスコシティの増加
寒冷な環境では、血液が粘性(ビスコシティ)を増しやすくなります。これにより、心臓が血液を送り出す際の負荷が増え、血圧が上昇します。
これらの要因により、寒冷な季節では通常よりも高い血圧が測定されることがあります。特に高血圧患者や心臓疾患のある人々は、冷えからくる影響に敏感である可能性があります。
高血圧患者は、寒冷な季節においても健康な生活習慣を維持し、適切な防寒対策をとることが重要です。これには十分な保温、適切な運動、バランスの取れた食事が含まれます。また、血圧のモニタリングを続け、必要に応じて医師と相談しながら治療を調整することが大切です。
健康的な生活習慣の重要性
高血圧の管理において、生活習慣の見直しは欠かせません。バランスの取れた食事、定期的な運動、十分な睡眠などが健康な血圧を維持する鍵です。当ブログでは、シンプルで実践的なアドバイスを共有していきます。
高血圧の目安・基準値
日本高血圧学会の血圧の基準値が2019年に更新されました。
現在ではおおむね
病院で測った血圧 140/90mmHgを超えるか
お家で測った血圧 135/85mmHgを超えると
高血圧と診断されます。
高血圧管理に有効な生活習慣病の改善法は
高血圧を管理するためには、適切な食事療法と運動が重要です。
●食事療法●
低塩分の食事
高血圧患者は塩分摂取を注意する必要があります。食事において、加工食品やスナック、調味料に多く含まれる塩を制限し、新鮮な食材を積極的に摂るよう心がけましょう。
豊富なカリウムの摂取
カリウムはナトリウム(塩分)の排泄を助け、血圧をコントロールするのに役立ちます。バナナ、スイカ、イモ類、ほうれん草などの食品がカリウムの豊富なものです。
健康な脂質を選ぶ
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を制限し、代わりにオメガ-3脂肪酸を含む魚、ナッツ、オリーブオイルなどの健康的な脂質を摂るよう心がけましょう。
食物繊維の摂取
新鮮な果物、野菜、全粒穀物を摂ることで食物繊維の摂取を増やし、血圧のコントロールに寄与します。
●運動●
有酸素運動
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)は心臓と血管の健康を促進し、血圧を下げるのに効果的です。週に150分以上の中程度の強度の有酸素運動を目指しましょう。
筋力トレーニング
筋力トレーニングは代謝を向上させ、全体的な健康をサポートします。週に2回以上、大きな筋肉グループを対象にしたトレーニングを行います。
ストレッチングとリラクセーション
ストレッチングやヨガなどの活動は、筋肉の緊張を和らげ、ストレスを軽減するのに役立ちます。ストレスの管理も高血圧予防に重要です。
これらのアプローチを組み合わせることで、高血圧のリスクを軽減し、健康な生活をサポートすることができます。ただし、具体的なアプローチは個々の状態によって異なるため、医師や栄養士との相談が重要です。
自宅血圧を測りましょう
自宅での血圧測定は、高血圧の管理や予防において重要な手段となります。 健康管理の一環として積極的に行うことで、より良い健康状態を維持する手助けとなります。
日常の変動を捉える
自宅で血圧を測定することで、日中や夜間の血圧の変動をリアルタイムで捉えることができます。通院時の血圧だけではなく、日々の変動を知ることで、より正確な評価が可能です。
白衣性高血圧の特定
自宅で複数回にわたり測定することで、病院やクリニックでの単発の測定よりも正確な結果が得られます。また、白衣性高血圧(医療機関での測定時に緊張して高めになる現象)やその逆(自宅での測定時にリラックスして低くなる現象)を特定するのに役立ちます。
治療効果のモニタリング
高血圧の治療を受けている場合、自宅での血圧測定は治療効果をモニタリングする手段となります。医師が設定した目標に対してどれだけ効果があるかを確認し、必要に応じて治療計画を調整することができます。
予防と早期発見
自宅での血圧測定は、健康な状態を保ちながら日常的に血圧の変動をチェックする手段となります。異常が早期に発見されれば、予防策や生活習慣の見直しを通じて、高血圧の進行を遅らせることが可能です。
高血圧の薬物治療
高血圧の薬物治療は、患者の状態や健康状態に応じて異なります。以下は、一般的な高血圧治療に用いられる主な薬物クラスとその効果についての概要です。
利尿薬(Diuretics)
作用: 利尿薬は体内の余分な塩分や水分を排泄することで、血圧を下げます。これにより、循環血液量が減少し、心臓への負担が軽減されます。
- 代表的な薬物: フロセミド、ヒドロクロロチアジド
β遮断薬(Beta-Blockers)
作用: 心臓の働きを抑え、心拍数を減少させることで血圧を下げます。また、血管を拡張して血圧をコントロールします。
- 代表的な薬物: プロプラノロール、メトプロロール
カルシウム拮抗薬(Calcium Channel Blockers)
作用: 血管の平滑筋を弛緩させ、心臓への負担を減らすことで血圧を下げます。また、心臓の収縮力を抑制します。
- 代表的な薬物: アムロジピン、ディルタゼム
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE Inhibitors)
- 作用: アンジオテンシンIIという物質の生成を抑制し、血管の収縮を防ぐことで血圧を下げます。
- 代表的な薬物: エナラプリル、リシノプリル
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARBs)
- 作用: アンジオテンシンIIが結合する受容体をブロックし、血管の拡張を促進して血圧を下げます。
- 代表的な薬物: ロサルタン、バルサルタン
これらの薬物は単独で使用される場合もありますが、複数の薬物を併用することが一般的です。治療は患者の健康状態や他の病状によって異なりますので、適切な薬物や投与量は医師による診断と指導のもとに決定されるべきです。治療は定期的なモニタリングが必要であり、薬物の変更や調整が必要な場合があります。患者は医師の指示に従い、定期的に検査やフォローアップを受けることが重要です。
高血圧でお亡くなりになるケースも
日本の死因を見ていくと、
1位 悪性新生物
2位 心疾患
3位 肺炎
4位 脳血管疾患
5位 老衰
このような順位となっています。
このうち2位の心疾患や4位の脳血管疾患は血圧と深いかかわりがあります。
また、心疾患(循環器疾患)の発症頻度は月曜日の朝が高いといわれています。
早朝から午前中は血圧が高くなるため、心筋梗塞・脳血管疾患起こることが多いとも言われています。
ゆっくり休んだ日曜日から、月曜の朝仕事の気持ちに切り替えた時に血圧高くなりそうですよね。
血圧のはかり方
◆測定時間帯◆
朝・起床後1時間以内
排尿後
朝食前、内服前
夜・就寝前
入浴や飲酒の直後は避ける
座って1~2分安静にした後
日本高血圧学会では上腕式の血圧計を推奨しています。
◆姿勢◆
イスに座り、カフの位置を心臓の高さに合わせる
カフは指が1本入るくらいのきつさで巻く
薄手の服、または半袖シャツで測る
血圧は1日の間でも変動が大きく、一定期間は推移を見ることが大切です。(2週間程度)
1日朝、夜2回の測定をできるとよいかと思います。
次回の更新もお楽しみに。健康な未来のために、一緒に歩んでいきましょう!
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