「運動は健康にいい」は本当?運動過多 やりすぎの功罪を解説
- 貴介 浅川
- 5月2日
- 読了時間: 4分
運動は健康のために欠かせない活動ですが、適度な運動がもたらす健康効果とは反対に、過度な運動は様々な問題を引き起こす可能性があります。今回の浅川クリニックのブログでは、運動し過ぎ(運動過多)のメリットとデメリットについて考察します。

運動過多のメリット
卓越した身体能力の向上
高頻度かつ高強度のトレーニングは、特定のスポーツにおけるパフォーマンス向上に寄与します。
心肺機能の強化
持続的な高強度運動は、心肺機能を向上させ、全身の持久力を高めます。
メンタルヘルスの改善
適度な運動はストレス軽減や気分の向上に効果的ですが、運動を楽しむ人にとっては、運動量の増加が自己実現感や達成感を高める可能性があります。
運動過多のデメリット
オーバーユース症候群(過労性障害)
過度の運動は関節、筋肉、腱、骨に過剰な負担をかけ、炎症や損傷を引き起こすことがあります。
慢性的な疲労と免疫機能の低下
十分な休息を取らずに高強度の運動を続けると、慢性的な疲労が蓄積し、免疫機能の低下を招く可能性があります。
ホルモンバランスの乱れ
過度の運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰分泌を引き起こし、睡眠障害や気分障害、生殖機能の問題につながることがあります。
心血管系への過度な負担
極端な運動は心臓に過大な負担をかけ、特に未診断の心疾患を持つ人には危険を伴うことがあります。

ワンポイントアドバイス
アスリートは短命?
実際に、スポーツ選手が短命であるという一般的な認識は科学的根拠に基づいていません。多くの研究では、スポーツ選手、特に高いレベルで競技を行っているアスリートは、一般人よりも健康状態が良好で、しばしば長寿であることが示されています。ただし、一部のコンタクトスポーツや極端なスポーツに関連する特定のリスクが、健康問題に繋がる可能性があると指摘されています。
スポーツ選手の寿命に影響する要因
コンタクトスポーツのリスク
ボクシングやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツには、脳震盪を含む頭部への重度の打撃が伴います。これらは長期的な健康問題に繋がることがあります。
過度なトレーニング
過度のトレーニングや競技は、過労傷害やオーバーユース症候群の原因となり得ます。これらの状態は、疲労の蓄積や長期的な健康問題に繋がることがあります。
健康管理とサポート
トップレベルのアスリートの多くは優れた医療の介入を受けやすい環境にありますが、引退後のサポートが不十分な場合、健康問題が顕在化することがあります。
スポーツ選手にも健康リスクは存在しますが、多くは管理可能です。多くのアスリートが健康的なライフスタイルを送ることで長寿を享受しています。
結局運動はどうすればいい?
運動の恩恵を最大限に活かしつつ、運動過多によるデメリットを避けるためには、「量・質・回復」のバランスを取ることがカギです。
週に1~2日は完全休養日を設ける
筋肉・神経・免疫系には「回復時間」が必要です。夜は寝ましょう。毎日動きたい場合は「アクティブレスト(軽いストレッチやウォーキング)」を取り入れるのも手です。
運動強度と時間をコントロールする
WHOのガイドラインでは、週に150〜300分の中強度運動または75〜150分の高強度運動が推奨されています。それ以上の運動をする場合は、特に「体の声を聞くこと」が重要です。
疲労や体調の変化に敏感になる(自己モニタリング)
睡眠の質が落ちる
朝の脈拍が高い
運動しても気分が上がらない
怪我が治りにくい
よく風邪をひく
これらは「オーバートレーニング」のサインです!
十分な栄養と水分を確保する
炭水化物、タンパク質、脂質のバランスに加え、ビタミン・ミネラル補給も忘れずにとりましょう。運動後30分以内の栄養補給が回復を促進します。
専門家の力を借りる
トレーナー、理学療法士、スポーツドクターのアドバイスを取り入れると、より安全で効果的に運動を続けられます。
まとめ
運動は適度に行えば多くの健康メリットをもたらしますが、過度になると逆効果になることもあります。「頑張ること」と「無理をすること」は違います。個々の体調や目標に合わせて、適切な運動量を見極めることが重要です。健康的な生活のためには、運動だけでなく全体的なライフスタイルのバランスを考えることも意識しましょう。
浅川クリニック 内科・世田谷
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