「過労」が招く病気とそのサインとは?
- 貴介 浅川
- 6月13日
- 読了時間: 5分
現代社会では、「頑張りすぎること」が美徳とされがちです。しかし、その頑張りが行き過ぎると、私たちの心と体に深刻な影響を及ぼすことがあります。それが「過労」です。仕事はもちろん、受験勉強やスポーツ、介護や家事、育児でも過労は起こりえます。今回の浅川クリニックのブログでは、過労によって生じる可能性のある病気と、その気づき方についてご紹介します。

過労とは?
過労とは、長時間の労働や過度なストレスにより、体や心に負担が蓄積し、健康障害を引き起こす状態を指します。軽い疲れの延長と捉えがちですが、放置すると深刻な疾患に発展する恐れがあります。
過労によって生じるおそれのある病気
1.身体的な病気
心筋梗塞・狭心症
ストレスや血圧上昇により、心臓の血管が詰まり、命に関わる発作を引き起こすことがあります。
脳梗塞・脳出血
長時間労働により血圧が慢性的に上昇し、脳の血管が破れる・詰まるリスクが増加します。
高血圧・糖尿病の悪化
ストレスホルモンの影響で血糖値や血圧が上がり、コントロールが困難に。
胃潰瘍・胃炎
ストレスで胃酸分泌が増え、胃の粘膜が傷つきやすくなります。
不整脈や免疫力の低下
交感神経優位が続くことで、体のあちこちに不調が起こります。
慢性疲労症候群
疲労感が半年以上続き、日常生活にも支障をきたします。
2.精神的な病気
うつ病・不安障害
元々あったやる気が出ない、眠れない、集中できないなどの症状が続く場合は注意が必要です。
適応障害・燃え尽き症候群(バーンアウト)
職場のストレスにうまく対応できず、精神的に大きく消耗します。
不眠症
「眠れない」「すぐ目が覚める」などの症状が、心身の不調を悪化させることも。

過労のサインに気づくには?
以下のような症状がある場合、過労が原因かもしれません。
身体のサイン
慢性的な疲労感・だるさ
睡眠の質の低下(寝つけない、夜中に目が覚める)
胃腸の不調(胃痛・下痢・便秘)
食欲不振または過食
頭痛・肩こり・動悸
心のサイン
イライラしやすい、怒りっぽくなった
気分が沈みやすい、泣きたくなる
仕事や家事への意欲が出ない
小さなミスが増えた、集中できない
『自分がいなくなれば楽なのに』といった思考が浮かぶ
浅川クリニックの取り組み
浅川クリニックでは、身体の不調はもちろん、こころの疲れにも耳を傾ける診療を行っています。過労による不調は、見逃されやすく、病気が進行してから気づくこともあります。
当院では、
丁寧な問診と必要に応じた血液検査・心電図
必要に応じてメンタルヘルス不調対応への方向性を指南
オンライン診療で気軽に相談可能
などの体制を整えており、過労の予防と早期発見に努めています。

ワンポイントアドバイス
過労で「脳のかたち」が変わる⁉
最近の海外の研究では、週に50時間以上働き続けている人は、脳の“感情や集中力をつかさどる部分”が変化してしまうことがわかってきました。韓国のワーカホリックな医療従事者を対象にした研究を紹介します。
イライラしやすい
集中できない
判断ミスが増える
人間関係がつらく感じる
働き過ぎでこれらの不調が現れやすくなるそうです。実際にMRIという脳の画像検査でもそれらにかかわる脳領域の構造変化が確認されています。
こうした「こころの変化」は、脳の疲れが原因かもしれません。「がんばりすぎ」には“脳の休息”も必要です。十分な睡眠、短時間でもリラックスする時間をとるだけで、脳は少しずつ元気を取り戻します。
ワンポイントアドバイス②
それでも「頑張らなければいけない時期」はありますよね
仕事、育児、介護、人間関係etc「本当は休みたいけど、今はどうしても頑張らなきゃいけない」そんな状況の方も多いと思います。現実的に、何事もある程度の期間は負荷をかけなければ、成し遂げられないことが多いです。
でも、覚えておいてほしいのは、ずっとは頑張れないということ。
短期間の無理は誰にでもあります。でも、それが何か月何年と続くと、体も心も静かに悲鳴をあげ始めます。だからこそ、「自分の限界」にも気づけるように、小さな休息を毎日に組み込むことが大切です。
5分間だけ深呼吸して目を閉じる
スマホを手放し軽いストレッチ
誰かに「疲れた、だりい」と口に出してみる
めちゃくちゃくだらないことを妄想する
頑張る期間の見通しをつける・「この頑張りはいつまで続く?」と自問してみる
頑張った結果の将来の姿を想像する・楽しい未来を描く
そんな小さな行動が、あなたの脳と体を守る第一歩になります。
まとめ
過労は、誰にでも起こりうる現代病です。「ちょっと疲れが取れないな…」と思ったら、それは心と体のSOSかもしれません。
心配な症状がある方は、どうぞお気軽に浅川クリニックへご相談ください。あなたの健康と、これからの毎日を支えるために、私たちは寄り添い続けます。
浅川クリニック 内科・世田谷
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8
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