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見落とされがちな栄養素 亜鉛欠乏と微量元素の重要性

  • 執筆者の写真: 貴介 浅川
    貴介 浅川
  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

日々の健康を支える栄養素といえば、タンパク質やビタミン、炭水化物、脂質などが思い浮かぶかもしれません。しかし、それらと同じように、ミネラルや微量元素も体にとって非常に重要です。中でも「亜鉛(あえん)」は、免疫機能や皮膚の健康、味覚や傷の治癒など多くの働きを持ち、不足するとさまざまな不調を引き起こすことがあります。今回の浅川クリニックのブログでは、「亜鉛欠乏とは何か」、そして健康を支えるミネラルや微量元素の大切さについて詳しく解説します。



亜鉛を多く含む牡蠣


亜鉛とはどんなミネラル?


亜鉛は体内で合成できない「必須微量元素」のひとつで、体内で以下のような働きを担っています。


免疫機能の維持

ウイルスや細菌への防御力をサポート


皮膚や粘膜の修復

傷の治りを早めたり、ニキビや肌荒れの予防にも


味覚や嗅覚の正常化

味がしない・匂いが分からないなどの症状に関与


成長や発達の促進

特に成長期の子どもにとって重要なミネラル


性機能と関係

男性ホルモン(テストステロン)の合成に関与し性欲や精子の質、勃起機能を維持

女性においても亜鉛は卵巣機能の調整やホルモンバランスの維持に関与




亜鉛欠乏で起こりうる症状


亜鉛が不足すると、以下のような症状が現れることがあります。「気のせい」とされやすい症状ですが、慢性的な亜鉛不足が原因である可能性もあります。


・風邪をひきやすくなった

・味が分かりにくくなった(味覚異常)

・皮膚炎や口内炎が繰り返す

・髪の毛が抜けやすくなった

・傷が治りにくい

・うつ傾向や集中力低下

・性欲の低下や精子数の減少、性機能障害

・不妊や月経不順




亜鉛を含む代表的な食品


亜鉛は主に食事から摂取する必要があります。以下の食品に多く含まれています。


・牡蠣(カキ)最も豊富な天然亜鉛源

・赤身の肉(牛肉・豚肉)

・レバー(特に鶏・豚)

・納豆や豆腐などの大豆製品

・ナッツ類(カシューナッツ、アーモンドなど)


加工食品や偏った食事、過度の飲酒やストレスによって亜鉛の吸収が阻害されることもあります。特に適量のナッツ摂取は微量元素のほかにもビタミンや健康的な脂肪が多く含まれており、海外の大規模研究で長生きに影響することが示されています。




ワンポイントアドバイス

サプリメントでの補充もひとつの選択肢(過剰摂取にご注意)


日常の食事から必要量を摂取するのが理想ですが、食生活が不規則な方などは、サプリメントで補うことも有効です。ただし、亜鉛の過剰摂取には注意が必要です。


過剰な亜鉛摂取で起こりうる問題

鉄(Fe)や銅(Cu)の吸収が妨げられる

 特に「銅欠乏」は、貧血や神経症状(しびれや歩行障害)の原因になることがあります。

・免疫力の低下や吐き気、胃のむかつきなど消化器症状

・慢性的な摂取で、逆に体調不良が長引くケースもあります。


サプリメントは健康の味方ですが、摂りすぎると逆効果になることもあるという点を覚えておきましょう。適切な摂取量やバランスは、医師や管理栄養士に相談しながら進めるのが安心です。



亜鉛血中濃度の採血


まとめ


カルシウムや鉄と比べてあまり注目されない「微量元素」ですが、体の中で行われている何千もの酵素反応や代謝においては、微量でも不可欠な存在です。亜鉛だけでなく、セレン・銅・クロム・ヨウ素・マグネシウムなども同様に重要です。バランスの良い食事を心がけ、体調の小さな変化にも目を向けましょう。浅川クリニックでは、健康診断の血液検査項目に栄養・ミネラルバランスの確認を追加することも可能です。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。


浅川クリニック 内科・世田谷

〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8


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