蜂とエピペン 蜂刺されアレルギーとその緊急対応
- 貴介 浅川
- 6月6日
- 読了時間: 5分
夏や秋にかけての屋外活動中、蜂に刺されるリスクが高まります。多くの場合、蜂刺されは数日で治まる軽い反応ですが、アレルギー体質の人や特に過敏な方、2回目以降に刺された方の場合、アナフィラキシーという重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。今回の浅川クリニックのブログでは、蜂刺されアレルギーと、その緊急対応として重要な「エピペン」について詳しく解説します。

蜂刺されによるアナフィラキシーとは?
蜂刺されの際、蜂の毒が体内に入り込むことでアレルギー反応が引き起こされることがあります。特に、アナフィラキシーという全身性の重度のアレルギー反応が起こると、以下の症状が現れることがあります。

呼吸困難(気道が腫れるため)
急激な血圧低下(低血圧)
めまいや意識の混濁
全身のかゆみ、腫れ
アナフィラキシーは、放置すると命に関わる非常に危険な状態です。
エピペンとは?
エピペンは、アナフィラキシー反応が起きた際に自己注射でエピネフリン(アドレナリン)を体内に注入することで、症状を緩和する緊急用の薬です。エピネフリンが気道を開き、血圧を回復させ、アナフィラキシーの症状を迅速に抑えるため、蜂刺されアレルギーがある方にとっては命を守る必須のアイテムです。蜂刺されのほか、食物や薬物によるアナフィラキシーにも使用されます。

エピペンの使用方法
エピペンは使用方法が簡単に設計されていますが、事前に使い方を確認しておくことが大切です。
エピペンを握り、キャップを外す
青色のキャップを外し、オレンジ色の先端を下にして握ります。
太ももに注射
太ももの外側にエピペンを90度の角度で押し当て、カチッと音がするまで強く押し付けます(服の上からでも使用可能)。10秒ほどそのまま保持し、エピペンを引き抜きます。
医療機関への連絡
エピペンの使用後は、すぐに救急車を呼び、医療機関でさらなる処置を受けてください。エピペンは一時的な緊急対応であるため、後続の医療処置が必要です。
エピペンの副作用は?
一般的な副作用
動悸や心拍の上昇
エピネフリンは心拍数を増加させるため、注射後に動悸や心拍の速さを感じることがあります。これは薬が効いている証拠でもあり、通常は一時的なものです。
震えや不安感
エピネフリンが体内に入ることで一時的に不安感や手足の震えが起こることがあります。これも一時的なもので、通常は短時間で治まります。
吐き気や頭痛
注射後、吐き気や頭痛を感じる場合があります。これも副作用の一部としてよく見られるものです。
発汗や顔の赤み
一部の人はエピネフリンの影響で顔が赤くなる、または発汗が増えることがあります。これも一時的な症状です。
稀な副作用
高血圧
エピネフリンは血圧を上昇させる効果があるため、もともと高血圧の人や、血圧管理が必要な人にとっては注意が必要です。稀に血圧が危険なレベルまで上昇することがあります。
不整脈
心臓に影響が出る場合、不整脈が発生することがあります。心血管疾患の既往歴がある方は特に注意が必要です。
注射部位の痛みや炎症
エピペンの注射部位に軽い痛み、赤み、腫れが出ることがありますが、通常はすぐに治まります。
蜂刺されを予防するための対策
蜂が多い場所を避ける
蜂の活動が活発になる夏の終わりから秋にかけて、巣の周辺や蜂が多い場所には近づかないようにしましょう。
香りの強い香水を控える
蜂は甘い香りに引き寄せられやすいため、外出時には香水や香りの強い化粧品を避けるのが望ましいです。
目立たない色の服装
蜂は鮮やかな色に反応しやすいので、目立たない色の服装を心掛けましょう。
ワンポイントアドバイス
蜂に刺された人はハチミツ摂取にも注意が必要?
ハチミツがアナフィラキシーを引き起こす可能性のある要因
花粉
ハチミツには微量の花粉が含まれていることがあり、これがアレルギー反応の引き金になることがあります。特にブタクサやヒノキなど、特定の花粉にアレルギーを持つ人が、花粉成分を含むハチミツを摂取するとアナフィラキシー反応を引き起こすことがあります。
蜂由来のタンパク質
ハチミツには、蜂の唾液由来の微量タンパク質が含まれていることがあります。蜂刺されアレルギーがある人が摂取した場合、これが反応の引き金になることが稀にあります。
蜂蜜の混入物
特定の花や植物から採取されたハチミツには、その植物由来の特定の成分が含まれることがあります。こうした成分がアレルギーの原因となる場合もあります。
ハチミツは多くの人にとって健康的な食品ですが、稀にアナフィラキシーを引き起こす場合があります。花粉や蜂刺されに対するアレルギーがある方は、ハチミツ摂取に注意し、アレルギー症状の対策をとっておくことが大切です。
まとめ
蜂刺されが引き起こすアナフィラキシーに備えて、エピペンを携行し、正しい使用方法を理解しておくことが重要です。また、蜂の活動が多い場所を避ける、刺激しないように行動するなど、予防策も大切です。アレルギー反応に早く対応することで、大切な命を守ることができます。当院でも副院長診察日にはエピペン処方に対応しています。
浅川クリニック 内科・世田谷
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8
Comments