夜のドカ食いがなぜ体に悪いのか
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 6 日前
- 読了時間: 5分
仕事が終わってほっと一息つく夜は、つい気が緩んでドカ食いしたくなる方も多いと思います。今回の浅川クリニックのブログでは、医学的な視点から「なぜ夜のドカ食いが体に悪いのか」を詳しく解説します。

夜のドカ食い①
血糖値が急上昇しやすい(血糖スパイク)
■ 夜はインスリンの働きが弱い
人間の体内時計の影響で、夜間はインスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きが弱くなります。
その結果、
夜は同じ食事でも血糖が上がりやすい
食後の血糖値が下がりにくい
血糖スパイク(急上昇→急下降)が起きやすい
という状態になります。
■ 血糖スパイクの害
血糖スパイクは、
血管内皮を傷つける
酸化ストレス・炎症を引き起こす
動脈硬化の加速
糖尿病リスクの増大
など健康への影響が大きいことがわかっています。
深夜に高糖質メニュー(ラーメン・ご飯大盛り・甘いデザート)を食べると、翌朝まで高血糖が続くこともあります。
夜のドカ食い②
血糖が急降下 → 一時的に眠くなる(低血糖による入眠)
■ 「食べたら眠くなる」は身体のSOS
大量の糖質をとると血糖が急上昇。その後、インスリンが過剰に分泌され、今度は**急激な血糖低下(反応性低血糖)**が起こります。
このとき、
強い眠気
だるさ
集中力低下
甘いものが欲しくなる
といった症状が出ます。
つまり、夜のドカ食いは“擬似的な寝つきの良さ”を作っているだけで、体には大きな負担をかけています。
■ しかし睡眠の質は大きく低下する
血糖値が乱高下した状態では、
途中で目が覚めやすい
深い睡眠(ノンレム睡眠)が減る
成長ホルモンの分泌が阻害され疲れが残る
脂肪燃焼が妨げられる
といった悪影響が起こります。
「食べたら眠れる」は落とし穴→ 寝つきは良くても“質の悪い睡眠”になります。
夜のドカ食い③
消化機能が低下中に食べることで胃腸が休めない
夜は副交感神経と消化活動が低下し、胃腸は“休むモード”。そこに大量の食事を入れると、
胃もたれ
消化不良
逆流性食道炎
寝つきの悪化
翌朝の倦怠感
が起こりやすくなります。さらに、寝る直前の食事は胃酸分泌を促し、食道へ逆流しやすくなります。
夜のドカ食い④
動脈硬化を進めやすい
夜遅くの高カロリー食は、
中性脂肪が長時間高いまま
血糖値も下がらず血管を傷つける
アディポネクチン(血管を守るホルモン)が低下
血管内の炎症が増える
これらにより、動脈硬化の進行・心疾患・脳梗塞のリスクが上昇します。
夜のドカ食い⑤
ダイエットを阻害し“太りやすい体”に
夜は活動量が少なく、エネルギー消費も低下します。そのため、同じカロリーでも夜の食事は脂肪として蓄積されやすいことがわかっています。
特に深夜の糖質・脂質は、
中性脂肪へ変換されやすい
代謝ホルモンが乱れ、太りやすい体に
脂肪肝のリスク増大
など、ダイエットの大敵です。
何時までに食事を終えればいいの?
■ 基本ルールは「寝る3時間前まで」
医学的にもっとも良いとされるのは、就寝の3時間前までに食事を済ませること。
理由
消化時間の確保
逆流性食道炎の予防
血糖値の安定
成長ホルモンの分泌を妨げない
睡眠の質を保つ
■ 具体例
23:00に寝る → 20:00までに食事を終える
24:00に寝る → 21:00までに終了
どうしても夕食が遅くなる方は、夕方に軽食を入れて深夜のドカ食いを予防するのがおすすめです。
夜のドカ食いを防ぐコツ
16〜17時に軽く間食(ナッツ・ヨーグルト・ゆで卵)
夜は“腹7分・低糖質”を意識
汁物+タンパク質中心の献立に
寝る3時間前には食事を終える
甘いものはできるだけ日中に回す
夜に強い空腹感→実は「反応性低血糖」かも

ワンポイントアドバイス
夜はインスリンが出にくく、血糖値が上がりやすい時間帯です
人間の体には「体内時計(概日リズム)」があり、夜になると膵臓のインスリン分泌が低下し、さらにインスリンの効き(感受性)も悪くなることが、研究によって明らかになっています。
そのため、同じ食事量でも夜に食べるほうが血糖値が上がりやすい=太りやすい・動脈硬化が進みやすいという特徴があります。
Gale JE, et al. Disruption of Circadian Regulation of Pancreatic β-cell Function. Diabetes. 2011;60(6):1863–1873.
Morris CJ, et al. Endogenous Circadian System and Circadian Misalignment Impact Glucose Tolerance. PNAS. 2015;112(17):E2225–E2234.
まとめ
夜のドカ食いは“血糖値・消化・血管・肥満”すべてに悪影響
夜のドカ食いは、
血糖スパイク
低血糖による眠気
睡眠の質低下
消化不良
動脈硬化リスク増大
ダイエットの妨げ
など、健康面のデメリットが多く、できるだけ避けたい習慣です。
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