大人になって血液型が変わることはある?妊娠・献血で違うと言われたときの理由
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 4 時間前
- 読了時間: 5分
「子どもの頃はA型と言われたのに、妊娠したらO型と言われた」「献血したら、以前と違う血液型になっていると指摘された」
外来でもこのような相談をいただくことがあります。結論として血液型(ABO型)は原則として一生変わりません。しかし 大人になって違う血液型と言われるケースは確かに存在します。
今回の浅川クリニックのブログではその理由と、治療中の安全性まで含めてしっかり説明します。

1. 血液型はなぜ基本的に変わらない?
血液型は赤血球の表面にある A抗原・B抗原 の組み合わせで決まります。これらは 遺伝子によって決まるため、一生変化しません。
例外的に変化するのは、
赤血球をつくる細胞が入れ替わる
抗原の発現が低下するなどの特殊な状態に限られます。
2. 妊娠をきっかけに血液型の違いに気づくケース
「妊娠したら血液型が変わっていた」というお話は意外と多いです。しかし、そのほとんどは血液型が本当に変わったわけではありません。
(1)若い頃の血液型検査は精度が高くないことがある
学校健診や簡易キットで調べた血液型は、逆反応(抗体の有無を調べる判定)の確認が不十分な場合があります。
A型とO型、B型とO型などは、抗体の強さによって判定が揺れやすいことがあります。
(2)妊娠中は免疫状態が変化し、抗体が弱く見えることがある
妊娠早期〜後期にかけて免疫のバランスが変わり、抗A抗体・抗B抗体が弱くなって判定が曖昧になる場合があります。
そのため、
昔:簡易検査で「B型かも?」
妊娠時:病院で精密検査 → 正確には「O型」
というケースが起きます。
(3)不規則抗体スクリーニングを同時に行うため、より精密に判定される
妊娠中はRh型や不規則抗体の検査を行うため、必ず医療機関で精密に測定されます。この段階で正しい血液型が判明し、“変わったように見える”だけということが多いのです。
3. 献血をきっかけに血液型が違うと気づく理由
献血では非常に高い精度の検査が行われます。そのため、次のような理由で違う血液型が出ることがあります。
(1)過去の検査より精度が高い
子どもの頃の簡易検査との違いが最も多いパターン。
(2)弱いA型・弱いB型(サブグループ)の可能性
A抗原・B抗原が通常より少ない“サブグループ”の方がいます。この場合、以前はO型と判定されても、献血の精密検査で「実は弱いA型」と判明することがあります。
(3)病気による一時的な抗原低下
後述する造血器疾患などで、抗原が減って見える場合があります。
4. 血液型が大人で本当に変わるケース
極めて珍しいですが、医学的に血液型が変化する状況があります。
(1)骨髄移植後:最も明確に血液型が変わるケース
骨髄は血液を作る工場そのものなので、ドナーの血液型に入れ替わります。
例
患者:A型
ドナー:O型→ 移植後の血液型:O型
(2)白血病・悪性リンパ腫・骨髄異形成症候群など
造血機能が正常でなくなると、A/B抗原が弱く現れたり消失することがあります。
(3)大量輸血を受けたとき
短期間で患者さんの血液量を超える輸血を受けると、一時的に輸血された赤血球の血液型が優位に見えることがあります。

5. 血液型が違うと診断された時の不安:輸血は安全?
血液型が違うと言われると、「もし手術や輸血が必要になったら危なくないの?」と不安になる方も多いですが、実際は極めて安全に管理されています。
(1)医療現場では “血液型を自己申告” しない仕組み
輸血前は必ず
患者さんの血液をその場で採取して検査
交差適合試験(クロスマッチ)で実際に赤血球同士の反応を確認
を行います。
つまり、患者さんの申告だけで輸血することは100%ありません。
(2)型判定が曖昧な場合は「安全側の血液」を使用
抗原が弱い・不明瞭な場合、医療機関は
O型赤血球(最も安全)
AB型血漿
などの安全な輸血製剤を使います。
リスクを極限まで避けるプロトコルが整備されています。
(3)妊娠中も同様に厳密な判定と管理が行われる
妊娠中は
ABO型
Rh型
不規則抗体の精密検査を必ず実施します。
血液型の判定が曖昧でも、母子ともに安全な管理ができるよう医療側が調整するため、心配せず健診を受けていただけます。
6. 血液型が違うと感じたらどうすべき?
小さい頃の簡易検査しかしていない
妊娠で違う型を告げられた
献血で違う結果になった
そんな時は、医療機関での精密検査を一度受けておくと安心です。
浅川クリニックでも通常の採血で確認できます。
ワンポイントアドバイス
緊急輸血はO型を使うって本当?
本当です。血液型がわからない緊急時には、O型の赤血球(特に O Rh陰性)が最も安全とされ、まず使用されます。O型赤血球はA抗原・B抗原を持たず、ほとんどの血液型に適合しやすいからです。
なお、
赤血球輸血 → O型が“万能型”
血漿輸血 → AB型が“万能型”(抗A・抗B抗体を持たないため)
という違いがあります。
その後、患者さんの血液型が分かり次第、本人の型に合わせて切り替えるため、安全性はしっかり確保されています。
7. まとめ
血液型は普通は一生変わらない
しかし妊娠・献血・精密検査で「違う」と言われることは珍しくない
骨髄移植や造血器疾患では血液型が実際に変わる
医療現場では 申告ではなく、その場の検査を基に輸血するため安全
一度正確に調べておくと安心
血液型は健康や治療に直結する大切な情報ですが、現代の医療では安全性がしっかり確保されていますので、不安がある場合は気軽にご相談ください。
浅川クリニック 内科・世田谷
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