風邪に加湿が効く理由
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 3 日前
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更新日:1 日前
冬になると「加湿が大事」とよく言われます。実は加湿は 粘膜を守る医学的な効果 と 空気中のウイルスを減らす物理的な効果 の両方から風邪予防に役立つことが分かっています。
今回の浅川クリニックのブログは、なぜ加湿が風邪に効くのか、そして「冬にウイルスが流行する理由」までわかりやすく解説します。

ウイルスは単体で空気を漂っているわけではない
多くの人が「ウイルスが単体の粒子で空中に浮いている」とイメージしがちですが、実際には ほとんどが他の微粒子と“塊”になって漂っています。
● 人の皮膚片(フケ)
● 衣類の繊維くず
● ハウスダスト
● 花粉の微細片
● 咳や会話で飛び散る微小飛沫
こうした微粒子が、ウイルスにとっての“乗り物”になります。乾燥した空気ではこれらが非常に軽くなり、数時間にわたり空気中を漂ってしまう ため感染リスクが高まります。
湿度があると空気中のウイルス量が減る理由
湿度が40〜60%に保たれると、微粒子に水分が付着し、重くなって床へ落ちやすくなります。
● 空気中への浮遊時間が短くなる
● 吸い込むリスクが低減する
● 部屋の中でウイルス濃度が下がる
この「物理的な落下促進」が、冬の風邪予防に非常に有効です。
粘膜のバリア機能を守る効果
加湿には、のどや鼻の粘膜を乾燥から守る医学的なメリットもあります。
乾燥すると…
● 粘膜の繊毛運動の低下
● バリア機能の低下
● ウイルスが侵入しやすくなる
適度な湿度(40〜60%)を保つと粘膜が潤い、身体が本来持つ防御力が最も発揮されます。
では、なぜ夏にもウイルスが流行するの?
冬は乾燥でウイルスが浮遊しやすくなります。では、湿度が高い夏でも 夏風邪(アデノ・エンテロ・RSなど) が流行するのはなぜでしょうか?
理由は 流行するウイルスの種類が冬とまったく違う からです。
夏のウイルスは“湿気に強い”構造を持つ
アデノウイルスやエンテロウイルスなど、夏に流行するタイプは外側に「脂質膜(エンベロープ)」を持たない構造=ノンエンベロープ型で、湿度・熱に強く、環境中で安定しやすい という特徴があります。
冬のインフルエンザやコロナとは、ウイルス自体の性質がまったく異なります。
人の行動の違いも夏ウイルス流行に影響
夏には、ウイルスが広がりやすい行動や環境があります。
● 保育園・学校・プールなどでの集団行動
● 夏祭り・イベントなど人が密集する機会が多い
● 冷房の風で局所的に湿度が30〜40%と低下する
● プール熱のように水を介して感染しやすいウイルスがある
つまり 夏の流行は湿気とは関係なく、“ウイルスの種類+行動様式” で起こる のです。
冬の風邪対策としての加湿の重要性
冬の風邪予防には、やはり加湿が非常に有効です。
● 空気中のウイルスを落下させる
● 粘膜のバリア機能を守る
● のどの痛み・咳の軽減につながる
湿度40〜60%を目安に調整すると、最も効果的です。

加湿器を使うときの注意点
加湿の効果を最大限にするために、いくつかのポイントがあります。
● タンクの水は毎日交換し、継ぎ足しはしない
● タンク内は毎日洗い、ぬめりを防ぐ
● 週に1回はしっかり除菌
● 湿度が60%を超えないよう注意(カビ・ダニ増殖の原因)
● 換気と加湿をセットで行う
清潔な加湿が、最も安全で効果的です。
加湿器がないときの簡易的な加湿方法
加湿器がなくても、簡単に湿度を上げる方法があります。
● 濡れタオルを部屋に干す
● 室内に洗濯物を干す
● 観葉植物を置く
● お湯を張った容器を置く(小さなお子さんのいるご家庭では注意)
まとめ
加湿は、「空気中のウイルスを減らす物理的効果」 と「粘膜の防御力を高める医学的効果」の両方を持つ、冬の風邪予防の基本対策です。
ただし夏は、湿度ではなく ウイルスの種類や人の行動 により流行が起こります。季節に合わせた対策で、風邪の予防を強化しましょう。
風邪症状が長引く場合や、のど・咳が辛いときは浅川クリニックまでお気軽にご相談ください。
浅川クリニック 内科・世田谷
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