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低尿酸血症 尿酸値が低い場合の原因と健康への影響

  • 執筆者の写真: 貴介 浅川
    貴介 浅川
  • 3月21日
  • 読了時間: 4分

尿酸値については一般的に、高い値が痛風や腎結石などのリスクと関連して話題になることが多いですが、尿酸値が低い場合(低尿酸血症)にも注意が必要です。尿酸は体内でプリン体が代謝される際に生成される老廃物で、通常、尿を通じて排出されます。しかし、尿酸値が異常に低い場合、特定の健康問題や体の状態を示している可能性があります。今回の浅川クリニックのブログでは、低尿酸血症の原因やその健康への影響について解説します。



体尿酸血症の原因 尿酸


尿酸とは?


尿酸は、体内の細胞が代謝される過程や、食事から摂取されるプリン体が分解される際に生成されます。血液中に含まれる尿酸は、通常、腎臓を通じて尿とともに排出されます。尿酸値は、健康な成人で通常、男性では3.5〜7.0 mg/dL、女性では2.5〜6.0 mg/dLとされています。これより低い値を示す場合は「低尿酸血症」と診断されることがあります。




低尿酸血症の原因


腎臓の過剰な排出

腎臓が尿酸を過剰に排出することで、血中の尿酸値が低下します。多くが腎性低尿酸血症と考えられています。


遺伝的要因

一部の遺伝子異常によって、尿酸の代謝や排出に影響を与えることがあります。遺伝性の低尿酸血症は、特にアジア地域の中でも日本人、そしてユダヤ人に多いと言われています。日本での頻度は、おおよそ男性0.2%、女性0.4%となります。


薬剤の影響

利尿薬、サリチル酸系薬剤(アスピリンなど)、および特定の抗がん薬が、尿酸の排出を増加させ、低尿酸血症を引き起こすことがあります。


栄養状態の不良

栄養失調や低タンパク質食は、尿酸値を低下させることがあります。これは、体内でのプリン体の生成が不足するためです。


肝機能の低下

肝臓での尿酸の生成が低下すると、尿酸値が低くなることがあります。肝機能障害や一部の代謝性疾患が原因となることがあります。



体尿酸血症の合併症 尿路結石


低尿酸血症が健康に与える影響


低尿酸血症そのものが直接的に重篤な健康問題を引き起こすことは稀ですが、いくつかの潜在的なリスクや関連する問題が考えられます。


酸化ストレスの増加

尿酸は抗酸化作用を持ち、体内のフリーラジカルを中和する役割を果たします。尿酸値が低い場合、この抗酸化能力が低下し、細胞が酸化ストレスによってダメージを受けやすくなる可能性があります。


腎機能への影響

遺伝性低尿酸血症では、腎機能障害や腎不全のリスクが高まることがあります。特に、運動後に要背部痛を伴う急性腎不全を引き起こすリスクがあるため、激しい運動を行う場合は注意が必要です。


貧血や筋肉の問題

極端な低尿酸血症は、体内の他の代謝バランスに影響を与え、貧血や筋肉のけいれんなどを引き起こす可能性があります。


尿路結石発症への影響

多くの場合、尿酸値が高い場合に尿路結石はできやすいのですが、尿酸値が低すぎる場合にも尿酸結石やシュウ酸カルシウム結石を形成することが多いとされています。腎性体尿酸血症では尿中への尿酸排泄が増えるため、尿路に石ができやすくなると言われています。




低尿酸血症の治療と対策


低尿酸血症は通常、根本的な原因を特定し、その原因に応じた治療を行います。特に腎臓や肝臓の疾患、薬剤の副作用、栄養不足が原因となる場合、それぞれの治療が必要です。軽度の場合、特別な治療が不要なこともありますが、持続的な低尿酸血症がある場合は、医師に相談して適切な検査と対策を行うことが重要です。




まとめ


尿酸値が低いことは、一般的に注目されることが少ないものの、特定の健康状態を反映している可能性があります。低尿酸血症が疑われる場合は、医師の診断を受け、適切な対応を行うことが大切です。特に、腎機能や薬剤の使用歴、栄養状態に注意を払い、バランスの取れた健康管理を心掛けましょう。


浅川クリニック 内科・世田谷

〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8


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