ビールと痛風について
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 7月25日
- 読了時間: 5分
更新日:10月10日
痛風は、関節に激しい痛みを引き起こす疾患で、尿酸値の上昇が主な原因です。そして、ビールの摂取が痛風に与える影響について多くの方が気にされています。今回の浅川クリニックのブログでは、痛風の仕組みとビールとの関係、さらに痛風予防に向けたビールの楽しみ方について解説します。

痛風とは?
痛風は、高尿酸血症によって関節に尿酸結晶が沈着し、炎症を引き起こすことで発症します。主な症状としては、足の親指の付け根などの関節に突然の激痛や腫れ、赤みが生じることがあります。尿酸値の上昇には遺伝的要因や生活習慣が影響を与えます。
プリン体とは?
プリン体は、細胞のDNAやRNAを構成する重要な成分であり、体内で代謝されると尿酸に変わります。食品や飲料から摂取されるプリン体は、特に尿酸値に影響を与えるため注意が必要です。プリン体を多く含む食品として、内臓類、魚卵、干物、ビールなどが挙げられます。
ビールに含まれるプリン体は、酵母や麦芽といった原料由来のもので、痛風や高尿酸血症のリスクに関連します。そのため、ビールの摂取量や種類を選ぶことが健康維持において重要です。
プリン体や尿酸の体内での役割
プリン体は細胞の構成要素であり、遺伝情報を保持するDNAやRNAの一部を形成する重要な物質です。また、プリン体はエネルギー代謝にも関与し、アデノシン三リン酸(ATP)などの分子に含まれています。これらは細胞のエネルギー供給において欠かせない役割を果たしています。
尿酸は、プリン体が代謝された結果生じる老廃物です。体内では抗酸化作用を持つ物質として機能し、フリーラジカルによる細胞損傷を防ぐ役割を果たしています。ただし、尿酸が過剰になると関節や腎臓に悪影響を及ぼすため、そのバランスが重要です。
尿酸値が高い人が気を付けること
適切な水分摂取
尿酸を排出しやすくするために、水分を十分に摂取しましょう。一日2リットル程度を目安にするのがおすすめです。
アルコールの適量摂取・もしくは禁酒
特にビールの摂取を控えることが重要です。他のアルコール飲料も尿酸値に影響を与える可能性があるため注意してください。アルコールはプリン体が含まれていなくても、尿酸の生成を増加させ、腎臓からの尿酸排出を妨げるため、全般的に尿酸値を上昇させる可能性があります。
高プリン体食品の制限
内臓類、魚卵、干物などプリン体を多く含む食品の摂取を減らすよう心がけましょう。
適度な運動
運動不足は尿酸値を悪化させる原因となることがあります。軽い有酸素運動やストレッチを日常に取り入れましょう。逆に高負荷の無酸素運動は筋肉や細胞の破壊から尿酸値を上昇させやすくなります。
体重管理
肥満は尿酸値を上昇させる要因の一つです。健康的な食生活と運動で適正体重を維持するよう努めましょう。
定期的な健康チェック
尿酸値や腎機能を定期的に確認し、必要に応じて医師と相談しましょう。1年に1度は健康診断をしっかり受診することが大切です。高度の高尿酸血症を認める場合には尿酸値を体咲かせるための内服薬を使用することがあります。
痛風予防のためのビールの楽しみ方
適量を守る
ビールを飲む量をコントロールすることが大切です。一般的に、1日1杯程度(350mL)のビールであれば大きなリスクを避けられるとされています。
低プリン体ビールを選ぶ
痛風リスクを軽減するためには、低プリン体ビールやプリン体ゼロビールを選ぶことを検討してください。
水分補給を忘れない
ビールを飲む際には、水を一緒に摂取して尿酸排出を促進することが推奨されます。
バランスの取れた食事を心がける
内臓類や魚卵などの高プリン体食品の摂取を控え、野菜や果物を多く含む食事を心がけましょう。

ワンポイントアドバイス
ビールの健康効果
ストレス軽減
適量のビールはリラックス効果があり、ストレスを軽減する助けになることがあります。
心血管疾患リスクの低減
適度なアルコール摂取は、善玉コレステロール(HDL)の増加や血液の流れを良くして動脈硬化を抑制する作用があるとされています。
骨密度の改善
ビールに含まれるシリコンは骨の健康に寄与する可能性が一部研究で示唆されています。
抗酸化作用
ビールに含まれるポリフェノール(キサントフモール)は、抗酸化作用を持ち、体内の酸化ストレスを軽減する効果が期待されています。認知症や前立腺癌に対する予防効果も一部研究では示唆されています。
まとめ
痛風とビールには密接な関係がありますが、適切な知識を持って楽しむことで、リスクを抑えながらビールを味わうことができます。低プリン体ビールの活用や摂取量の管理、バランスの良い食生活を意識することで、健康を保ちながらビールを楽しみましょう。
浅川クリニックでは、尿酸値や痛風に関する相談を随時受け付けております。気になる症状や質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
浅川クリニック 内科・世田谷
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