握力が強いほうが長生きは本当?― フレイルとの深い関係とは ―
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 2月13日
- 読了時間: 3分
「握力が弱いと寿命が短いらしい」そんな話を、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
実はこの話、単なる噂ではなく、多くの医学研究で示唆されている事実でもあります。その背景にある重要な概念が、近年注目されている 「フレイル(虚弱)」 です。
今回の浅川クリニックのブログでは、握力と長生きの関係を医学的な視点から整理しながら、フレイルの指標としての握力の意味、そして健康寿命を守るために日常生活で意識したいポイントをわかりやすく解説します。

フレイルとは?
フレイル(frailty)とは、👉 加齢により 筋力・体力・活動量・認知機能などが低下し、要介護に近づいた状態を指します。
ただの「年のせい」ではなく、
転倒しやすい
病気にかかると回復しにくい
入院・寝たきり・死亡リスクが上がる
といった 重要な健康リスクの前段階 と考えられています。
フレイルを評価する5つの指標(Fried基準)
フレイルは、次の 5項目 で評価されることが多く、その中心に「握力」が含まれています。
① 握力低下(筋力低下)
男性:26kg未満
女性:18kg未満
👉 全身の筋肉量・筋力低下(サルコペニア)を反映
② 歩行速度の低下
通常歩行が遅くなる👉 下肢筋力・バランス・心肺機能の低下を示唆
③ 易疲労感(すぐ疲れる)
「何をするのも億劫」「疲れやすい」
④ 身体活動量の低下
外出や運動が減る
家にこもりがちになる
⑤ 体重減少(意図しない減少)
半年〜1年で体重が減る👉 栄養不良や筋肉量減少のサイン
🔸 3項目以上 → フレイル🔸 1〜2項目 → プレフレイル(予備軍)
なぜ「握力」がそんなに重要なの?
握力は、✔ 簡単に測れる✔ 年齢差・性差を考慮して評価できる✔ 全身の筋力・活動量・栄養状態を反映する
という理由から、フレイル評価の代表的指標として世界中で使われています。
実際、握力が弱い人ほど
心血管疾患
感染症
転倒・骨折
総死亡
のリスクが高いことが、多くの大規模研究で示されています。
誤解しやすいポイント
「握力が強ければ長生き」ではない
重要なのはここです。
👉 握力そのものが寿命を延ばすわけではありません。
握力はあくまで🟢 「体の衰えを映す鏡」🟢 「フレイルの早期サイン」
なのです。
つまり、握力が低下してきた=体全体の衰えが始まっている可能性と考えるのが医学的に正しい理解です。

フレイル予防=長生きの近道
日常で意識したいポイント
ウォーキング・階段昇降
下半身中心の筋トレ(スクワットなど)
たんぱく質を意識した食事
外出・人との交流
これらは👉 握力👉 歩行速度👉 活動量
すべてを底上げします。
まとめ
握力は フレイルの中核指標
握力低下は 健康寿命短縮のサイン
大切なのは「数値」より 全身の機能を保つこと
フレイルは 早めに気づけば防げる
「まだ大丈夫」と思っている時期こそが、フレイル予防のベストタイミングです。
健診で
握力
体重変化
体力低下
が気になった方は、ぜひお気軽にご相談ください。
今の元気を10年先まで守るお手伝いをいたします。
浅川クリニック 内科・世田谷
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