汗っかきは病気? 多汗症ってどんな状態?
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 7月18日
- 読了時間: 4分
更新日:10月10日
「ちょっと動いただけで汗が…」「真冬でも脇汗がすごい」そんなお悩み、ありませんか?「汗っかきだから体質だよね」と片付けてしまいがちですが、実は多汗症(たかんしょう)という病気かもしれません。今回の浅川クリニックのブログでは、「汗をかきやすい=病気なのか?」について、わかりやすく解説します!

汗っかきと多汗症の違いとは?
汗は体温調節のために大切な働きをしています。でも、日常生活に支障をきたすような汗の量だったり、明らかに必要以上に出ている場合は、多汗症という疾患の可能性があります。
たとえばこんなケース、ありませんか?
人と握手するのが恥ずかしいほど手汗が出る
スーツや制服のワキ部分が常に汗ジミ
緊張していないのに顔に大量の汗が出る
靴の中が蒸れて足汗が気になる
これらは、原発性多汗症の特徴の一部です。
多汗症にはこんな種類があります
● 原発性多汗症(げんぱつせい)
原因ははっきりしていませんが、局所(手・足・脇・顔など)に多量の汗をかくのが特徴。思春期や20代に発症することが多く、家族にも同じ症状があることがあります。
● 続発性多汗症(ぞくはつせい)
病気や薬の副作用が原因で起こる多汗です。甲状腺機能亢進症や糖尿病、更年期障害などの症状の一部としてあらわれることがあります。
どこまでが「ふつうの汗」?
診断の目安になるポイントはこちら!
特にご本人の困りごととして明確であるかどうかで保険適用の治療が検討されます。
どんな治療法があるの?
🧴 外用薬(ぬり薬)
エクロックゲル、ラピフォートワイプ、アポハイドローションなどが保険適用・使い方は朝または寝る前に塗るだけ!
💊 内服薬
抗コリン薬など。全身の汗を抑える作用がありますが、口の渇きなどの副作用に注意が必要です
当院でもこれらの治療法を取り入れています。特に外用薬に関しては最近の進化のすさまじさを感じています。
外用や内服治療でも難しい場合には下記の治療を紹介するケースもあります。
💉 ボトックス注射
汗を出す神経に働きかけて、3〜6ヶ月ほど汗を抑える効果があります・保険適用される場合もあります(腋窩多汗症など)
🛁 イオントフォレーシス
手足を水に浸けて微弱な電流を流す方法で、汗腺の働きを抑える効果があります
🩺 手術(交感神経遮断術)
重症例に対して行う治療。副作用として代償性発汗(他の場所が多汗になる)に注意が必要です

ワンポイントアドバイス①
日常生活でできる汗対策!
吸汗速乾のインナーを活用しましょう。綿よりもポリエステル素材が◎
こまめな汗拭きで皮膚トラブルを防止
緊張性の汗は、深呼吸やゆっくりした動作で軽減することがあります
脇汗パッドや手汗用のハンカチなど、便利な市販グッズも活用してみてください!
ワンポイントアドバイス②
汗の裏に隠れた病気があることも!
実は、汗が多い原因が別の病気であるケースもあります。以下のような症状を伴う場合は、ただの多汗症ではない可能性もあるので要注意です。
汗が全身から突然あふれるように出る
最近体重が急に減った
動悸や手の震え、イライラ感がある
汗と同時に熱っぽさや疲労感がある
夜間の発汗が多くて寝汗で目が覚める
こうした症状がある場合、次のような内科的疾患が隠れている可能性があります。
まとめ
汗の悩み、あきらめないで
「汗っかきだから仕方ない」と思って我慢していませんか?実は治療できる症状であることも多く、保険適用の治療薬も増えてきています!日常生活に支障をきたすようなら、ひとりで悩まず、ぜひ一度ご相談ください。浅川クリニックでは、多汗症に関する診察・治療についてもご案内しております。
浅川クリニック 内科・世田谷
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8




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