秋の花粉症 身近に潜む秋のアレルギーにご注意を
- 貴介 浅川
- 3 日前
- 読了時間: 5分
浅川クリニックでは、春だけでなく秋にも悩まされる花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)について、毎年多くのご相談を受けています。当クリニックでも、秋に「風邪かと思っていたら花粉症だった」という方が少なくありません。今回の浅川クリニックのブログでは、秋特有の花粉症の特徴、診断・治療、日常生活での対策をわかりやすくご紹介します。

秋の花粉症とは
春の花粉症との違い
原因となる花粉の種類
秋の花粉症の主な原因は、雑草(草本植物)の花粉です。特に以下のものが代表的です:
ブタクサ(キク科)
ヨモギ(キク科)
カナムグラ(アサ科)
これらは道端、空き地、公園、河川敷など、比較的身近な場所に自生しており、背丈は低めのものが多いため、意外と近くで飛散にさらされやすい傾向があります。
飛散時期と特徴
飛散時期は、地域差はありますが一般的に 8月下旬~10月中旬頃 がピークとされます。
春のスギ・ヒノキ花粉と比べると、これら雑草花粉は 飛散距離が短め であり、風に乗って遠くまで飛ぶ量は少なめですが、 近くに植物があれば影響を受けやすい という特徴があります。また、雑草花粉は粒子が比較的小さめのものがあり、鼻や喉の奥、気管支寄りまで入り込みやすいという報告もあります。
主な症状
くしゃみ、透明な鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ
目のかゆみ、異物感、充血、目やに
のどのイガイガ感、咳、声がれなど、上気道〜気管支への刺激症状
重症化すると、副鼻腔炎や喘息症状を誘発することもあります。
「風邪」との見分けポイント
発熱がない、または軽度で長引く
熱や強い全身倦怠感よりも、鼻・目・のどに特異的なかゆみや症状が目立つ
症状が数週間持続したり、改善と悪化を繰り返す
こうした点が「風邪とは違うかも?」と感じたら、秋の花粉症を疑ってみる価値があります。
浅川クリニックにおける診断・治療方針
当クリニックでは、内科を中心に、アレルギー診療・花粉症対応も行っております。
診察・検査
問診・症状の聴取 ・いつから、どのような症状か、季節や環境変化との関係 ・既往歴(春の花粉症の有無、喘息、アトピーなど)
身体所見(鼻腔、咽頭、聴診など)
必要に応じてアレルギー検査 (血液検査:特定抗原に対するIgE検査等)
他疾患の除外 (慢性副鼻腔炎、風邪・上気道炎、その他鼻・のどの疾患)
治療アプローチ
治療は、症状の程度や患者さんの体質・希望に合わせて個別化します。
抗ヒスタミン薬(くしゃみ・鼻水・かゆみの軽減)
点鼻ステロイド(鼻づまり・鼻粘膜炎症抑制)
抗ロイコトリエン薬(咳・のどの炎症を和らげる)
点眼薬(目のかゆみ・充血対策)
吸入療法(喘息傾向がある場合)
症状が強いときは併用療法を行うことも
また、生活指導(後述)も併用していくことが、症状軽減には欠かせません。
日常生活でできる予防・対策
クリニック外でできるセルフケアも非常に重要です。
花粉との接触を避ける工夫
雑草が生えていそうな場所(空き地、公園、河川敷など)には近づかないようにする
特に朝・昼前(花粉飛散量が多い時間帯)を外出控えとする
帰宅時には衣服の花粉をはらう、可能なら着替えをする
室内の窓開けを控え、換気は花粉の少ない時間帯(夕方など)に行う
空気清浄機の活用、室内掃除をこまめに行う
マスク・メガネ・帽子着用など物理的防御
帰宅直後のうがい・洗顔も有効
生活環境整備
室内に花粉を持ち込まないよう、玄関マットや掃除を徹底
布団やカーテンの花粉対策(外に出さない、こまめな洗濯)
室内湿度の管理(乾燥しすぎないよう適切な湿度維持)
併存するアレルギー(ハウスダスト、ダニなど)対策も並行

ワンポイトアドバイス
食物アレルギーに注意
秋の雑草花粉(特にブタクサ)に感作している方では、口腔アレルギー症候群(OAS)が出ることがあります。果物(メロン、スイカなど)を食べた際に、唇・口内がかゆくなる経験があれば注意が必要です。
早めの対策と受診のタイミング
秋の花粉症は、春のような「ピーク一気飛散」ではないため、どうしても見過ごされがちです。しかし、早めに対策を始めることで症状の抑制効果が期待できます。
受診を考えたほうがよいケース
市販薬で改善が見られない
症状が長引いて2〜3週間以上続く
のど・咳など上気道(気管支)症状が強い
日常生活(睡眠、仕事、学校など)に支障をきたしている
春の花粉症もある方で、重症化傾向が強い
当クリニックでは、初診から丁寧に対応しております。内科的に適切な治療が難しいと判断した場合には、耳鼻咽喉科やアレルギー専門医との連携も行います。
秋の花粉症に関するQ&A
質問 | 回答 |
春の花粉症がある人は秋もなりやすい? | はい。春の花粉症をお持ちの方は他の花粉にも感作しやすいため、秋の花粉症を併発することが比較的多いとされています。 |
秋にだけ症状が出ることはあり得る? | 可能性はあります。春にあまり症状が出なかった人でも、秋の花粉に特異的に反応を示すことがあります。 |
秋の花粉症は重くなる? | 通常は春に比べて軽めに感じることも多いですが、症状が長引いたり、気管支への影響が強く出る例もあります。 |
市販薬は使っていい? | 軽症なら市販の抗ヒスタミン薬や点鼻薬で対応できることもあります。ただし、長期化・重症化・合併症リスクのある方は、専門診療の受診を強くお勧めします。 |
まとめ
秋の季節は、気温・湿度の変動も大きく、風邪や乾燥、冷たい空気なども気道に刺激を与えやすい時期です。その中で、花粉という隠れたトリガーがあることを意識しておくと、症状を早期にキャッチでき、対策もしやすくなります。
浅川クリニックでは、患者さま一人ひとりの症状・体質に合わせた治療・アドバイスを行っております。秋に「なんだか鼻がムズムズする」「目がかゆい」「のどがイガイガする」など感じられる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
浅川クリニック 内科・世田谷
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8
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