アルコールが筋肉に与える影響 急性アルコール筋症について
- 貴介 浅川
- 6月20日
- 読了時間: 3分
楽しい飲み会の翌朝、筋肉痛のような違和感を覚えたことはありませんか?それが一時的なものであれば問題はありませんが、大量にアルコールを摂取した場合、このような筋肉の異常が深刻な状態に進行することがあります。今回の浅川クリニックのブログでは、急性アルコール筋症の仕組みや予防法を、身近な例を交えてわかりやすく解説します。

急性アルコール筋症とは?
急性アルコール筋症は、大量のアルコール摂取後に筋肉が急性の炎症や損傷を受ける状態を指します。特に、長期間アルコールを多量摂取している方に多く見られる疾患ですが、短期間でも過剰摂取を行った場合に発症することがあります。
急性アルコール筋症の主な症状
筋肉痛や筋肉のこわばり
筋力低下
筋肉の腫れや圧痛
尿の色が濃くなる(筋肉細胞が破壊されミオグロビンが排出されることによる)
重症の場合、歩行困難や日常生活への影響が出ることも
急性アルコール筋症の原因
アルコールは筋細胞に直接影響を及ぼし、以下のようなメカニズムで筋肉に損傷を与えると考えられています。
筋細胞内のエネルギー不足
アルコールは肝臓で代謝される際に多量のエネルギーを消費します。その結果、筋肉へ供給されるエネルギーが不足します。
電解質の異常
アルコール摂取により脱水症状や電解質異常が起こりやすくなり、筋肉細胞の働きに悪影響を与えます。
炎症反応の誘発
長時間にわたるアルコール摂取により、炎症性サイトカインが増加し、筋細胞が損傷を受けます。
急性アルコール筋症の診断
血液検査
筋細胞が壊れると血中に増加する「クレアチンキナーゼ(CK)」や「ミオグロビン」の値を確認します。
尿検査
ミオグロビン尿の有無を調べます。
画像診断
MRIや超音波で筋肉の状態を確認する場合もあります。

急性アルコール筋症の治療
アルコール摂取の中止
アルコールの摂取を即時中止することで、さらなる筋肉の損傷を防ぎます。
水分補給
点滴や経口で十分な水分を補給し、筋肉の炎症やミオグロビン尿による腎臓への負担を軽減します。
栄養療法
筋肉の回復を促進するために、タンパク質やビタミンD、その他必要な栄養素を補う栄養指導が行われることもあります。
重症の場合には下記のような治療が施されることもあります。
電解質異常の是正
血液中のナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質バランスを回復させるために、適切な補正治療を行います。
炎症を抑える治療
必要に応じて抗炎症薬やステロイドを使用して、筋肉の炎症を抑えます。
最重症例では専門的治療
横紋筋融解症に発展した場合、腎機能を保護するために透析治療が必要になることがあります。また、筋肉の壊死が進行した場合には外科的処置が検討されることもあります。
まとめ
急性アルコール筋症を予防するには、何よりもアルコール摂取量を適切に管理することが大切です。また、定期的な運動やバランスの取れた食事も筋肉の健康維持に役立ちます。
急性アルコール筋症は、適切な対処を行えば回復が可能な疾患です。しかし、放置すると慢性的な筋肉障害や腎臓への負担が増す可能性もあります。アルコールとの付き合い方に不安がある方や筋肉に異常を感じた場合は、ぜひ一度浅川クリニックにご相談ください。
浅川クリニック 内科・世田谷
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