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風邪と飲酒 あまり知られていないリスクと正しい対処法

風邪を引いたときにアルコールを摂取することの影響については、しばしば誤解が生じがちです。多くの方がリラックスのためや、民間療法として少量のアルコールを飲むことが風邪の症状を和らげると考えがちですが、実際にはアルコールは風邪の回復を遅らせることがあります。今回の浅川クリニックのブログでは、風邪を引いている時の飲酒が体に与える影響と、風邪の時における正しい生活習慣について解説します。



風邪と飲酒


飲酒が風邪に与える影響


脱水

アルコールは利尿作用を促し、体の水分を奪います。風邪を引いているときには十分な水分補給が非常に重要ですが、アルコールを飲むと脱水状態が悪化し、症状が長引く原因になります。


免疫システムの抑制

アルコールは免疫システムの機能を低下させる可能性があります。そのため、風邪のウイルスと戦う体の能力が弱まり、病気の回復が遅れることがあります。


睡眠の質の低下

アルコールは一時的に睡眠を促す効果があるかもしれませんが、睡眠の質を低下させます。REM睡眠が減少し、体が必要とする休息を十分に得られないため、風邪の回復に必要なエネルギーが補充されません。



風邪薬


飲酒が風邪薬に与える影響


薬の効果の変化

アルコールは体内での薬物の代謝を変化させることがあります。これにより、薬の効果が予期せず強くなったり、逆に弱まったりすることがあります。特に、肝臓で代謝される薬剤の場合、アルコールの同時摂取により薬物の分解が遅れ、体内に薬剤が長く留まることがあります。


副作用の増強

アルコールは中枢神経系を抑制する作用があるため、風邪薬との併用は副作用を強化することがあります。例えば、多くの風邪薬に含まれる抗ヒスタミン剤は眠気を引き起こすことがあり、アルコールと合わせて摂取するとこの眠気が強くなり、日中の活動や運転などに支障を来すことがあります。


脱水のリスク

風邪薬には利尿効果があるものが多く、アルコールも利尿作用を持つため、両者の併用は脱水を引き起こしやすくなります。脱水は風邪の回復を遅らせるだけでなく、腎機能に負担をかけることもあります。脱水による風邪薬の血中濃度がさらに上昇して作用と副作用がともに増強してしまう可能性もあります。


胃腸への負担

アルコールは胃腸の粘膜を刺激し、風邪薬の成分によっては胃腸に不快感や痛みを引き起こすことがあります。特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの風邪薬は胃腸障害を起こすリスクがあるため、アルコールとの併用は避けるべきです。




風邪を引いたときの適切な対処法


十分な水分補給

水、お茶、ハーブティー、スープなど、カフェインやアルコールを含まない飲料を積極的に摂取しましょう。おなかの調子も悪い時には糖分を含まないOS-1なども有効です。


適切な休息

十分な睡眠を取ることが、体が感染と戦い回復するために非常に重要です。


栄養バランスのとれた食事

ビタミンCや亜鉛を含む食品を積極的に摂ることで、自然な免疫力をサポートします。


医師のアドバイスを求める

症状が改善しない場合や高熱が出る場合は、医師の診察を受けることが重要です。



消毒用アルコール


ワンポントアドバイス

アルコール自体はウイルスに効果があるのでは?


確かに高濃度のアルコール自体はウイルスを死滅させる効果があります。

医療用に使用される消毒用アルコールは濃度70%以上となっています。濃度100%だとすぐに蒸発してしまうため実用性はありません。高濃度のアルコールは手指や物品への消毒には効果があります。

口の中や消化管など粘膜内では唾液などですぐに薄まってしまい、十分な消毒は難しいと考えることが妥当です。また、多くの飲酒用のアルコールは濃度が高くても40%前後のため消毒には不向きと考えられます。




まとめ


風邪を引いたときは、アルコールの摂取を控えることが大切です。適切な水分補給と休息を心がけることが、速やかな回復に繋がります。風邪の自然な治療過程を尊重し、体を労わる生活を送りましょう。


浅川クリニック 内科・世田谷

〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目3−8



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