運動能力「VO2max」を自動車に例えると?
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 4 時間前
- 読了時間: 4分
最近、スマートウォッチや健康アプリでVO2max(ブイオーツーマックス)という言葉を見かけることが増えてきました。「体力の指標らしいけど、よく分からない」という方も多いのではないでしょうか。VO2maxは簡単に言うと体が1分間に利用できる酸素の最大量のことです。
この数値が高いほど
長く運動できる
疲れにくい
心肺機能が高い
という状態になります。
医学的に説明すると少し難しいので今回の浅川クリニックのブログでは「体を自動車に例えて」VO₂maxを分かりやすく説明してみます。

VO2maxは「体のエンジン排気量」
VO2maxは車で例えるとエンジンの排気量にかなり近い概念です。例えば車では
車 | 排気量 | 性能 |
軽自動車 | 660cc | 最低限のパワー |
普通車 | 2000cc | バランス型 |
スポーツカー | 5000cc | 高出力 |
同じようにVO2maxも数値で体力が分かります。
VO₂max | イメージ |
30 | 軽自動車 |
40 | 普通車 |
50 | 高性能車 |
60以上 | スポーツカー |
つまりVO₂maxが高い=体のエンジンが大きいと考えると分かりやすいかと思います。
VO2maxを決める4つの機能
VO2maxは単なる体力ではなく、体のさまざまな機能が組み合わさって決まります。
それを自動車に例えると次のようになります。
心臓(心機能)
→ エンジン
心臓は血液を送り出すポンプです。車でいうエンジンにあたります。
エンジンが小さい車がスピードを出せないように、心臓が送り出せる血液量が少ないと運動能力は上がりません。持久系アスリートの心臓が大きいのはまさに高性能エンジンのような状態です。
肺(肺機能)
→ 吸気システム
肺は酸素を体に取り込む装置です。
車でいうエアインテーク(吸気系)にあたります。
エンジンも空気(酸素)がないと燃焼できません。
同じように肺が酸素を取り込めないと体はエネルギーを作ることができません。
筋肉(足・体幹)
→ 駆動系・タイヤ
筋肉はエネルギーを実際の動きに変える部分です。
車でいうと
タイヤ
トランスミッション
駆動系
に相当します。
いくらエンジンが高性能でもタイヤが弱ければパワーを地面に伝えられません。
同じように筋肉量や体幹の安定性が低いと運動効率は落ちます。
ミトコンドリア
→ エンジンの燃焼効率
ミトコンドリアは細胞の中でエネルギーを作る装置です。
これは車でいう燃焼効率に近い存在です。
燃費の良いエンジンのように、ミトコンドリアが多いと同じ酸素でも多くのエネルギーを作ることができます。
持久系アスリートの筋肉はミトコンドリアが非常に多いことが知られています。
VO2maxの年齢別平均(目安)
VO2maxは年齢とともに徐々に低下します。
一般的な目安は次の通りです。
男性
年齢 | 平均VO2max |
20代 | 45〜50 |
30代 | 40〜45 |
40代 | 35〜40 |
50代 | 30〜35 |
60代 | 25〜30 |
女性
年齢 | 平均VO2max |
20代 | 35〜40 |
30代 | 32〜38 |
40代 | 28〜35 |
50代 | 25〜32 |
60代 | 20〜28 |
平均より10以上低い場合は運動習慣の見直しを考えてもよいレベルと言えます。

Apple WatchのVO2maxの見方
最近はApple WatchなどでVO2maxが自動計測されます。
ただし注意点があります。実際より低く出ることがあるという点です。
Apple WatchのVO2maxは
歩行速度
心拍数
から計算されています。
そのため
信号待ち
歩いたり止まったり
短時間の運動
などではVO2maxが低く計算されやすいことがあります。
より正確に測定するには20分以上の連続したウォーキングやランニングがおすすめです。
医者が考えるVO2maxの危険ライン
VO2maxは健康寿命とも強く関係しています。
特に注意したい目安は次の通りです。
男性
VO2max | 評価 |
40以上 | 良好 |
35前後 | 平均 |
30前後 | 運動不足 |
25以下 | 要注意 |
女性
VO2max | 評価 |
35以上 | 良好 |
30前後 | 平均 |
25前後 | 運動不足 |
20以下 | 要注意 |
男性25以下女性20以下は
心血管疾患
糖尿病
メタボリック症候群
のリスクが高い層と重なりやすく、体力低下のサインと考えられます。
まとめ
VO2maxは「体のエンジン性能」
VO2maxは
心臓(エンジン)
肺(吸気)
筋肉(駆動系)
ミトコンドリア(燃焼効率)
すべての能力が合わさった体の総合的な運動能力です。
自動車に例えるなら体のエンジン排気量のようなものです。
もしスマートウォッチでVO2maxが低めに出ている場合はまず週1-2回の有酸素運動から始めてみてください。体のエンジン性能は意外と改善することが多いものです。
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