頭痛に「五苓散(ごれいさん)」?
- 浅川貴介 | 浅川クリニック副院長 | 総合内科専門医・腎臓専門医・医学博士

- 3 分前
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「頭がズキズキする…」「天気が悪いと必ず痛くなる…」そんなつらい頭痛、漢方薬でやわらぐことがあるのをご存じですか?今回の浅川クリニックのブログでは、ご相談が増えている、漢方薬「五苓散(ごれいさん)」について、どうしてこうした頭痛に効くのか、そして近年注目されている水の通り道=アクアポリンの話も交えて、解説します。

五苓散とは?
五苓散は、「体の中の水分バランスを整える」ことを目的とした漢方薬です。5つの生薬(たけしゃ・ちょうれい・ぶくりょう・そーじゅつ・けいひ)で構成され、水の巡りを良くします。雨の日の頭痛や、むくみがちな方の体調不良に昔から使われてきました。2020年以降の報告でも、五苓散が「天気による頭痛」や「自律神経の乱れ」による症状を改善したという複数の臨床データがあります。例えば、兵庫医科大学の報告では、低気圧の前に五苓散を予防的に服用することで、片頭痛の頻度が有意に減少したことが示されています(Yoshino et al., 2020)。
どんな頭痛に向いているの?
以下のようなタイプの頭痛に、五苓散は相性が良いとされています。
天気が悪くなる前に起きるズキズキ(気象病)
水分をとりすぎた翌朝の頭の重さ・二日酔いの頭痛
吐き気やめまいを伴うむくみタイプの頭痛
冷え性・低血圧の方に多い、ゆるやかな持続性の頭痛
水毒という考え方
漢方では、体に水分がたまりすぎて不調になることを「水毒(すいどく)」と呼びます。現代医学では、むくみによる頭蓋内圧の変化や、自律神経失調がこれに相当するとされており、五苓散の使用にはこうした理論的な裏付けがあります。
現代医学とのつながり
五苓散と脳の水分調節
2021年の日本頭痛学会では、五苓散が脳脊髄液の循環改善や血管性頭痛の緩和に関わる可能性が報告されました。さらに、五苓散を飲んだ群では、気圧変化による交感神経過剰反応が抑えられたという研究結果も出ています(Ushijima et al., 2021)。

「アクアポリン」ってなに?
アクアポリンは、細胞の中で水を通す“通り道”のようなタンパク質です。私たちの体はこのアクアポリンを使って、必要な水分だけを吸収・排出しています。ところが、自律神経の乱れやストレス、気圧の変化などでアクアポリンの働きが低下すると、水分のコントロールがうまくいかなくなります。
最近の研究では、五苓散がこのアクアポリンの機能を整える可能性があると報告されています(Katsuyama et al., 2021)。つまり、「体の中の水の通り道」を整えることで、脳内のむくみ=頭痛やめまいの原因を減らすことができるのです。
SGLT2阻害薬(SGLT2i)と五苓散の“共通点”に注目!
最近では、糖尿病や心不全の薬として使われている「SGLT2阻害薬(ジャディアンス・フォシーガなど)」が注目されています。この薬は、尿と一緒に余分な糖と水分を出して、体のむくみや血圧を整える作用があります。実は、五苓散も似たような“体の水はけ”を良くする働きがあり、方向性が共通しているといわれています。さらに、五苓散がアクアポリンを介して「脳内の水分バランス」を調整する可能性があり、これはSGLT2阻害薬が“腎臓でのアクアポリン発現”に影響を与えるという報告とも共通しています(Nakamura et al., 2021)。
※すでにSGLT2阻害薬を飲んでいる方は、脱水に注意が必要です。五苓散の併用は医師とご相談ください。
まとめ
五苓散は、天気による頭痛、自律神経の乱れ、水分代謝のアンバランスに伴う頭痛に効果が期待できる、現代にも通じる漢方薬です。
科学的な裏付けも少しずつ増えてきており、「我慢せずに相談する」時代になっています。
浅川クリニック世田谷では、西洋医学と漢方を組み合わせた診療を行っております。お困りの方はお気軽にご相談ください。
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