スタチンで筋肉が溶けるって本当?横紋筋融解症について 紅麹との関係もわかりやすく解説

「コレステロールの薬を飲むと、筋肉が溶けるって聞いたんですけど…」
外来で、ときどき聞かれる質問です。
特に最近は、紅麹サプリのニュースもあり、
「スタチンって危ない薬なの?」「紅麹とスタチンって関係あるの?」「筋肉が溶けるって何?」
と不安に思う方もいるかもしれません。
結論からいうと、スタチンはとても大切な薬です。ただし、まれに筋肉に副作用が出ることがあるため、注意点を知っておくことが大切です。

スタチンってどんな薬?
スタチンは、悪玉コレステロールを下げる薬です。
悪玉コレステロールが高い状態が続くと、血管の中に汚れがたまりやすくなります。
その結果、心筋梗塞脳梗塞狭心症などの病気につながることがあります。
スタチンは、こうした病気を予防するために、世界中でとても多く使われている薬です。
スタチンは昔から研究されてきた薬です
スタチンは、急に出てきた薬ではありません。
もともとは、カビなどの微生物が作る成分の研究から発見されました。
この発見には、日本人研究者である遠藤章先生が大きく関わっています。
その後、世界中で研究が進み、薬として使いやすいように改良されてきました。
つまりスタチンは、発見されて終わりの薬ではなく、何十年もかけて改良されてきた薬です。
効果だけでなく、安全性や飲みやすさも考えられてきました。
世界中でたくさんの人が飲んでいる薬です
スタチンは、世界中で非常に多くの人が飲んでいます。
正確な人数を一言でいうのは難しいですが、世界で数億人規模で使われていると考えられています。
それだけ多くの人に使われている理由は、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ効果が期待できるからです。
スタチンは、世界中でたくさんの人の命や健康寿命に貢献してきた薬のひとつです。
では「筋肉が溶ける」って何?
スタチンの副作用として、筋肉に症状が出ることがあります。
たとえば、筋肉が痛い体がだるい力が入りにくい足が重いといった症状です。
多くの場合は軽い症状です。
しかし、ごくまれに横紋筋融解症という重い副作用が起こることがあります。
横紋筋融解症とは、簡単にいうと、筋肉の細胞が壊れてしまう状態です。
筋肉が壊れると、その中の成分が血液中に出てきます。その成分が腎臓に負担をかけることがあります。これが「筋肉が溶ける」と表現されることがあります。
ただし、本当に筋肉がドロドロに溶けるわけではありません。筋肉の細胞が壊れて、その成分が血液中に出る、という意味です。
スタチン飲んで横紋筋融解症はよくあるの?
スタチンによる横紋筋融解症は、とてもまれです。
スタチンを飲んでいる人の多くに起こるものではありません。
ただし、起こった場合には腎臓に負担がかかることがあるため、早めに気づくことが大切です。
「めったにないけれど、知っておくべき副作用」というイメージです。
こんな症状があれば相談を
スタチンを飲んでいるときに、次のような症状がある場合は、医療機関に相談してください。
強い筋肉痛足や腕に力が入りにくい全身がひどくだるい尿の色が濃い尿が赤茶色、コーラ色っぽい
特に、強い筋肉痛と尿の色が濃い場合は注意が必要です。
自己判断で長く様子を見すぎず、早めに相談しましょう。
副作用が出やすい人は?
次のような方は、筋肉の副作用に少し注意が必要です。
高齢の方
腎臓の働きが弱い方
肝臓の病気がある方
甲状腺の病気がある方
脱水気味の方激しい運動をした方
たくさんの薬を飲んでいる方
また、薬の組み合わせによって副作用が出やすくなることもあります。
今飲んでいる薬やサプリがある場合は、診察のときに教えてください。
スタチンのもとは紅麹なの?
ここは少しややこしいところです。
結論からいうと、スタチンそのものが紅麹で作られているわけではありません。
ただし、紅麹には、スタチンに似た働きをする成分が含まれることがあります。
その成分をモナコリンKといいます。
モナコリンKは、コレステロールを下げる作用を持つ成分です。
つまり、
紅麹=スタチンそのものではありません。
しかし、
紅麹の中には、スタチンに似た成分を含むものがあるということです。
紅麹サプリは安全なの?
紅麹サプリは、製品によって中身が違います。
モナコリンKがどれくらい入っているかも、製品によって違うことがあります。
少なければ効果が弱いかもしれません。多ければ、スタチンに似た副作用に注意が必要になるかもしれません。
つまり、「サプリだから薬より安全」とは限りません。
特に、すでにスタチンを飲んでいる方が、自己判断で紅麹サプリを一緒に飲むのはおすすめしません。
スタチンと紅麹で、似た作用が重なってしまう可能性があるからです。
スタチンは怖がってやめた方がいい?
自己判断でやめるのはおすすめしません。
スタチンは、必要な人にとっては、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐための大切な薬です。
たしかに、副作用には注意が必要です。
でも、必要な薬をやめてしまうことで、将来の病気のリスクが上がってしまうこともあります。
大切なのは、
なぜ飲む必要があるのかどれくらいコレステロールを下げたいのか副作用が出たらどうするのかサプリと一緒に飲んでよいのかを医師と相談しながら決めることです。
筋肉痛が出たらどうする?
スタチンを飲んでいて筋肉痛が出ると、不安になると思います。
ただし、筋肉痛の原因はスタチンだけではありません。
運動風邪や感染症脱水甲状腺の病気他の薬などでも筋肉痛やCKという数値の上昇が起こることがあります。
そのため、筋肉痛が出たからといって、すぐに「横紋筋融解症だ」と決めつける必要はありません。
必要に応じて血液検査で、CK腎機能肝機能などを確認します。
そのうえで、薬を続けるか、減らすか、変えるか、中止するかを判断します。
まとめ
スタチンは、悪玉コレステロールを下げる薬です。
心筋梗塞や脳梗塞を予防するために、世界中でとても多く使われています。
スタチンは、カビなどの微生物の研究から発見され、日本人研究者の遠藤章先生が大きく関わりました。
その後、何十年もかけて改良され、安全性や使いやすさも高められてきました。
一方で、まれに筋肉痛やだるさなどの副作用が出ることがあります。さらに非常にまれですが、横紋筋融解症という重い副作用が起こることもあります。
強い筋肉痛、力が入りにくい、尿の色が濃いなどの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
また、紅麹にはスタチンに似た成分が含まれることがあります。そのため、スタチンを飲んでいる方が、自己判断で紅麹サプリを一緒に飲むことはおすすめしません。
スタチンは怖がりすぎる薬ではありません。ただし、正しく知って、必要な確認をしながら使うことが大切です。
浅川クリニック 内科・世田谷
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