寝つきが悪い・眠りが浅い方へ|睡眠の質を高める7つの習慣と受診の目安

更新日:1 日前

こんにちは。浅川クリニック副院長の浅川貴介です。
「布団に入ってもなかなか眠れない」
「夜中に何度も目が覚める」
「十分寝たはずなのに、朝から疲れている」
このような睡眠の悩みは、単なる寝不足だけでなく、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などが関係していることがあります。
睡眠は、身体と脳を休ませ、心身の健康を保つために欠かせない時間です。この記事では、睡眠が健康に与える影響、今日からできる快眠のための習慣、医療機関へ相談した方がよい症状について解説します。
良い睡眠とは「長く眠ること」だけではありません
良い睡眠というと、睡眠時間の長さだけが注目されがちです。しかし大切なのは、必要な睡眠時間を確保し、朝起きたときに「しっかり休めた」と感じられることです。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は個人差を考慮しながら、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することが勧められています。
ただし、適切な睡眠時間には個人差があります。休日に長時間寝ないと体がもたない、日中に強い眠気がある、仕事や家事に集中できない場合は、普段の睡眠が足りていない可能性があります。
睡眠不足が心と身体に与える影響
疲労回復や身体の修復を妨げる
睡眠中には、身体の疲労回復や組織の修復が行われます。睡眠不足が続くと疲れが取れにくくなり、日中のだるさや集中力低下につながります。
記憶力や判断力が低下する
睡眠は、日中に得た情報を整理し、記憶として定着させる働きにも関係しています。睡眠が不足すると、注意力や判断力、仕事や学習の効率が低下することがあります。
気分が不安定になりやすい
睡眠不足は、イライラ、不安感、気分の落ち込みなどとも関係します。眠れないことを心配するあまり、さらに眠れなくなるという悪循環に陥る場合もあります。
生活習慣病と関係する
慢性的な睡眠不足や睡眠障害は、高血圧、糖尿病、肥満、心血管疾患などと関連することが知られています。
不眠症状のある人は、よく眠れている人と比較して、糖尿病を発症するリスクが1.5~2倍になるという報告もあります。
また、睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に低酸素状態と交感神経の緊張が繰り返されるため、高血圧や心疾患、脳血管障害などのリスクが高くなります。
睡眠の質を高める7つの習慣
1.毎朝なるべく同じ時間に起きる
体内時計を整えるには、就寝時刻だけでなく、起床時刻を大きくずらさないことが重要です。
休日の朝寝坊が長くなると、生活リズムが後ろにずれ、日曜日の夜に眠れなくなることがあります。休日も平日との差をできるだけ小さくしましょう。
2.朝に光を浴びる
朝起きたらカーテンを開け、自然光を浴びましょう。朝の光は体内時計を調整し、夜に自然な眠気が生じるリズムを作る助けになります。
朝食をとることも、生活リズムを整えるきっかけになります。
3.日中に適度な運動をする
ウォーキングなどの適度な運動を習慣にすると、寝つきや睡眠の質の改善が期待できます。
ただし、就寝直前の激しい運動は身体を興奮させ、かえって眠りにくくなることがあります。無理のない範囲で、日中から夕方に行いましょう。
4.入浴で身体をリラックスさせる
就寝の1~2時間前に入浴すると、その後に体温が下がる過程で眠気が起こりやすくなります。
熱すぎるお湯や就寝直前の長風呂は身体を覚醒させる場合があるため、心地よいと感じる温度にしましょう。
5.夕方以降のカフェインに注意する
コーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があります。影響の受け方には個人差がありますが、寝つきが悪い方は夕方以降の摂取を控えてみましょう。
6.寝酒を習慣にしない
アルコールを飲むと一時的に眠くなることがあります。しかし、睡眠の後半が浅くなり、夜中に目が覚めやすくなります。
飲酒はいびきや睡眠時無呼吸を悪化させることもあるため、眠るためのお酒はおすすめできません。
7.眠くなってから寝床に入る
眠れないまま長時間ベッドにいると、「ベッドは眠れずに悩む場所」という認識が強くなってしまうことがあります。
しばらく眠れないときは、いったん寝床を離れ、暗めの部屋で静かに過ごし、眠気が出てから戻る方法もあります。スマートフォンの使用は、光だけでなく内容による刺激でも目が覚めやすくなるため、就寝前は控えめにしましょう。

不眠症とは
不眠症は、単に睡眠時間が短い状態ではありません。
次のような症状があり、そのために日中の生活へ支障が生じている状態を指します。
布団に入ってもなかなか眠れない
夜中に何度も目が覚める
朝早く目が覚め、その後眠れない
眠りが浅く、休んだ感じがしない
日中に疲労感、集中力低下、気分の不調がある
必要な睡眠時間には個人差があるため、短時間睡眠でも日中に問題がなければ、必ずしも不眠症とは限りません。
一方で、「眠れないことがつらい」「日中の活動に影響している」という場合には、適切な評価が必要です。
不眠が続く原因
不眠の原因は、ストレスだけとは限りません。
仕事や家庭のストレス、不安
不規則な勤務や生活リズム
カフェイン、アルコール、喫煙
痛み、かゆみ、咳、夜間頻尿
むずむず脚症候群
うつ病や不安症などの精神的な不調
睡眠時無呼吸症候群
服用している薬の影響
原因によって治療法が異なるため、睡眠薬だけで解決しようとせず、背景にある病気や生活習慣を確認することが大切です。
不眠症の治療
生活習慣と睡眠環境の見直し
まず、起床時刻、運動、飲酒、カフェイン、昼寝、寝室環境などを確認します。
ただし、すべてを一度に変える必要はありません。続けやすい項目から一つずつ取り組みましょう。
不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)
不眠症に対する認知行動療法は、睡眠に関する習慣や考え方を見直し、眠れない状態の悪循環を改善する治療です。慢性的な不眠症に対する有効な治療法の一つとされています。
薬物療法
症状や原因に応じて、睡眠薬を使用することがあります。
睡眠薬には複数の種類があり、年齢、持病、ほかの薬との飲み合わせ、不眠のタイプなどを考慮して選択します。漫然と服用するのではなく、効果や副作用を定期的に確認しながら使用することが大切です。
いびきや日中の眠気は睡眠時無呼吸症候群の可能性も
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に気道が狭くなり、呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。
次のような症状がある場合は注意が必要です。
大きないびきを指摘される
睡眠中に呼吸が止まっていると言われる
夜中に何度も目が覚める
朝起きたときに頭痛や口の渇きがある
十分寝ても日中に強い眠気がある
血圧がなかなか下がらない
居眠り運転をしそうになる
睡眠時無呼吸症候群は、不眠症のように「眠りが浅い」「途中で目が覚める」と感じることもあります。
治療には、重症度や原因に応じてCPAP療法、歯科で作製する口腔内装置、減量や飲酒習慣の見直しなどがあります。
浅川クリニックでは、ご自宅で行える簡易検査やCPAP治療に対応しています。
医療機関へ相談した方がよい目安
次のような場合は、セルフケアだけで長く様子を見ず、医療機関へご相談ください。
不眠が続き、日中の生活に支障がある
強い眠気により、運転や仕事に危険がある
大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘された
気分の落ち込みや強い不安を伴う
市販の睡眠改善薬や飲酒に頼っている
高血圧や糖尿病があり、睡眠にも問題を感じる
まとめ
睡眠の質を高めるためには、単に長く寝ようとするのではなく、起床時刻や朝の光、運動、カフェイン、飲酒などを含めて生活リズムを整えることが大切です。
一方で、眠れない状態が続く場合や日中の生活に支障がある場合には、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、身体疾患などが隠れている可能性があります。
浅川クリニックでは、内科的な原因を含めた睡眠のお悩みの相談や、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
参考資料
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
厚生労働省「睡眠と生活習慣病との深い関係」
日本睡眠学会
浅川クリニック 内科・世田谷
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